新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防疫対策に出遅れたことで世論のバッシングを受けた日本政府が、素早く災難支援金性の現金支給に乗り出した。緊急事態宣言を維持するためには、民心をなだめなければならないうえ、2009年の世界金融危機の際大規模な赤字財政を経験した自信が反映されていると見られる。
日本総務省は20日、自国に居住する日本人をはじめ、3カ月以上の日本滞在資格があり、住民票を持っている外国人も1人当たり現金10万円を支払うことを決めた。当初、COVID-19の影響で収入が減った世帯に現金30万円を支給する予定だったが、基準が厳しいという批判が高まったことを受け、計画を修正した。追加支給を求める声が上がる中、早ければ5月から10万円の支給が始まる見通しだ。
日本政府はこのため、2020年度の補正予算案を25兆6914億円に修正し、閣議決定を行った。収入減世帯を対象にした30万円支給より8兆8857億円増えた。日本政府は増えた予算を国債発行で補う計画だ。今年、日本政府の国債発行額は58兆2000億円で、史上最大を記録する見通しだ。しかし、野党は「収入減世帯への30万円支給」も並行して実施するよう要求している。
現金支給のほか、テナント料支援策も議論されているとNHKなどが報じた。自民党の岸田文雄政調会長は20日、「(テナントの)負担を減らす法律を考えてみなければならない」と述べた。立憲民主党と国民民主党は、テナント料支払いの猶予を盛り込んだ法案を提出する計画だ。公的金融機関がテナント料を一定期間代わりに負担し、1年後の支払い能力に合わせて返済する方法が取り上げられている。
このような果敢かつ迅速な経済対策の実施が可能な背景にはいくつかの要因がある。第一に、緊急事態宣言で様々な活動の自粛を求めている状況で、国民が経済不況に備えるよう、政府レベルの支援策を打ち出す必要がある。また、2009年の世界金融危機の際、すでに1人当たり現金1万2000円を支給した経験もある。
早稲田大学のパク・サンジュン教授は21日、ハンギョレとの電話インタビューで、2009年当時、大規模な赤字財政だったにもかかわらず円に対する信頼が崩れなかったことに触れた。パク教授は「日本は過去の赤字財政では円回避現象があまりなかったため、赤字財政に踏み切ることができた」とし、「韓国はこのような経験がないため、躊躇があるようだ」と説明した。