日本の安倍晋三首相が7日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急事態宣言した中、日本政府の防疫対策を辛らつに批判してきた上昌広・医療ガバナンス研究所理事長(51)が、ハンギョレとのインタビューで日本の緊急事態宣言の背景と実効性に疑問を示した。上理事長は先月、日本の国会で韓国の事例を紹介し、COVID-19の検査に消極的な日本政府を猛烈に批判した。インタビューは先月31日に東京の研究所で、6日に電話で2度にわたって行われた。
-緊急事態宣言が適切だと思うか。
「正直、分からない。政府が緊急事態宣言の根拠にしたいのが最近の患者数の増加だ。しかし五輪延期発表前まで保健所でPCR検を95%ぐらい断られた。 しかし、五輪延期を発表した後、検査件数が急増した。 件数自体が(実際に比べて)少なすぎるため、判断する資料がない。感染者数の増加自体では、緊急事態宣言が適切なのか、状況把握を正確にできない。 ただ、すでに日本国内の感染が拡大している状態なら、緊急事態を宣言しても大きな意味はない。最近は主に病院で感染が広がった。病院が(集団感染が起きた)クルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』のような状況になった。このような状況なら、『ロックダウン(都市封鎖)』しても仕様がない」
-現在の日本の状況はどうだと思うか。
「日本がCOVID-19の検査をあまり行っていないため、すでに感染が蔓延していると思う。死者は比較的多くない。最大の問題は、病院のような医療施設で感染が広がる場合だ。病院は熱のある人が毎日来て、もっとも危険性が高い所だ。高齢者が多い。東京の数カ所の病院ですでに(集団感染が)確認されており、千葉県の障害者施設もそうだ。このようなところ(医療および福祉施設)を集中的に守らなければならない」
-COVID-19との戦いで最も重要なことは何か。
「韓国と日本は感染が(欧米に比べて)ゆっくり進んでいるので、重要なのは病院を守ることだ。(病院を守りながら)徐々に(集団)免疫を与えるのがいい。期間は少なくとも1~2年はかかる。 ところが、日本政府は1年後に五輪を開くことにした。言い換えれば、1年後に日本が(新型コロナウイルスから)きれいになることを願っている。五輪のため日本はロックダウンをしなければならない状況に追い込まれたということだ。1年後にきれいになるためにはロックダウンするしかないが、実際にどれだけ効果があるかは未知数だ」
-緊急事態を宣言すれば外出自制要請、学校・映画館など施設使用制限要請と指示などが可能だ。しかし、日本政府は緊急事態宣言とロックダウンは違うと強調する。
「言い方の違いだ。ロックダウンも中国のように極端な場合があり、欧州のようにもう少し緩い場合がある。日本の現行法で外出自粛要請に強制性がないのは事実だ。外出自粛の要請が実際にどのように作用するかは見守らなければならない」
-日本政府が発表した「入国拒否拡大」は効果があるのか。
「水際対策(国境・港・航空などで感染源を遮断)が有効なのは、日本が感染せず周辺が感染しているときだ。ところが、日本や中国、韓国も感染が拡大した。知られているのは氷山の一角だ。韓国と日本は似ている。中国と交流が活発で、生活水準も似ている。少なくとも韓国にいるくらいは日本にもCOVID-19感染者がいるだろう。水際対策を強化してもあまり効果がないと考える理由だ」