韓国政府が当初6日からと予定していた、日常生活と経済活動を並行する生活防疫体系への移行を先送りし、高いレベルの社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)をさらに2週間続けることにした。しかし、これまで第1次ソーシャル・ディスタンシング期間中も、移動量はむしろ以前より増えており、国民の疲労感や社会的・経済的被害などを考慮すれば、“もう少しの辛抱”という指針だけでは限界があるという懸念の声も高まっている。
防疫当局の説明を総合すると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のため、高いレベルのソーシャル・ディスタンシングが6日から19日までの2週間延長される。これを通じて、一日平均の新規感染者が50人以下に抑え、感染経路不明の事例も5%以下に維持するのが目標だ。防疫当局はこの期間が終わる頃に再延長または生活防疫体系への移行を検討する計画だ。今週末の間、新規感染者数は4日に94人、5日に81人だったが、これを半分程度に減らすということだ。
問題は、高いレベルのソーシャル・ディスタンシング期間が長くなるにつれ、市民の参加率が下がっていることだ。野外活動の自粛要請にもかかわらず、4~5日には遊園地などでは春の日差しと「割引イベント」に誘われた人々の姿が目立った。ロッテワールドが割引イベントを開始すると、SNSにはアトラクションに乗るために列をなして並ぶ人々や、賑わいを取り戻した飲食店の写真が掲載された。
防疫当局が公開した個人移動量分析(SKT、統計庁)の結果によると、2月24日から3月1日までの移動量はCOVID-19発生前に比べ、38.1%減少して最低値を記録した。しかしその後少しずつ増え、高いレベルのソーシャル・ディスタンシングを実施した第1週(3月23-29日)には最低値に比べ移動件数が16.1%増加した。江南(カンナム)駅や蚕室(チャムシル)駅などソウル地下鉄2号線の主要駅の1日乗車人員も、2月20~29日に急速に減少してから少しずつ増えていることが分析で明らかになった。
防疫当局は、ソーシャル・ディスタンシングが疎かになれば、いつでも感染者数が急増する恐れがあるとして、協力を呼び掛けているが、国民の参加率を引き上げるのは困難な状況だ。翰林大学江南聖心病院のイ・ジェガプ教授(感染内科)は「政府がもう2週間だけの辛抱を訴えるよりも、社会全般にどのような変化が必要で、被害の大きい領域にどのような支援策を提供するのかなどについても言及した方が効果を上げられるだろう」と話した。