ソウル、京畿、仁川(インチョン)などの首都圏で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者が今月1日で1000人を超えた。全感染者の10%を超える数値だ。首都圏の感染者の増加傾向が急激に進み、大邱(テグ)や慶尚北道のように感染者が急増することもあり得るとの専門家の警告が出ている。にも関わらず、感染拡散を防ぐために「社会的に距離を置くこと」(ソーシャル・ディスタンシング)が緩んでいる雰囲気だ。閑散とした繁華街がまた賑やかになり始め、3月第4週の漢江(ハンガン)公園の利用者は、前年同期より30%近く増えた。史上初のオンライン始業まで施行するなどのCOVID-19拡散を防ぐための努力を台無しにすることだ。
チョン・セギュン首相は2日、「国民がソーシャル・ディスタンシングに感じる疲労度が相当なものである事実は分かっている」としながらも、「世界的な拡散傾向はかつてないほど激しく、海外からの流入と集団感染が続いている状況であり、ソーシャル・ディスタンシングを緩和することは感染を再び拡大させる恐れがある」と話した。政府は先月21日から半月間実施した「高いレベルのソーシャル・ディンスタンシング」の持続の可否を間もなく決める方針だ。
学校や幼稚園に通うことができない子供たちも、子供の面倒を見たり在宅勤務をしなければならない大人たちも、長引くソーシャル・ディスタンシングに対して疲労感がたまっているのは事実だ。しかし、今は感染病の危機警報が相変わらず「深刻」段階である非常事態だ。特に人口密度が高い首都圏で感染が発生すれば、大規模な集団感染に繋がる可能性が他の地域よりはるかに高い。京幾道北部の拠点病院である議政府(ウィジョンブ)聖母病院はすでに集団感染により外来診療を中断し、国内最大の病床を保有するソウル峨山病院にも感染者が発生して一部の患者と保護者などに対するコホート隔離(多床室での集団隔離)に入った。重篤の患者が多い大型病院でCOVID-19感染者が増えれば、瞬く間に大惨事に繋がることもあり得る。
このような状況でカトリックと一部のプロテスタント団体がキリスト教の最大の祝日である復活節の礼拝をオンラインに切り替えることにしたのは望ましい決定だ。宗教界全体に広がらなければならないだろう。経営悪化で在宅勤務を終了した企業も、苦しいだろうが当面はソーシャル・ディスタンシングを継続することを願う。国民ももう少し忍耐を持ってソーシャル・ディスタンシングを実践しなければならない。COVID-19拡散を防ぐ最も確かな方法の中の一つが、個人間の1~2メートルの間隔を保つことだというのを忘れてはならない。