文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3日、第72周年4・3犠牲者追悼式で「不当に犠牲になった国民に対する救済は国家の存在理由を問う本質的な問題」だとし、国会に4・3特別法改正案の可決を要請した。
文大統領はこの日、済州4・3平和公園で開かれた追悼式で「済州4・3という原点に立ち返り、あの日、あの虐殺の現場で何が捏造され、何が我々を縛りつけ、また何が済州を死に至らしめたのか、一つ一つ明らかにしなければならない」とし「政界と国会に4・3特別法改正に対する特別な関心と支援を呼びかける」と述べた。集団虐殺の遺棄地点の調査と遺体発掘▽虐殺事件の真相究明調査▽犠牲者と遺族に対する賠償や補償▽被害者の名誉回復▽4・3トラウマ治癒センターの設立、などを盛り込んだ4・3特別法改正案は、国会行政安全委員会で止まっている状態で、第20代国会の任期が終われば自動廃棄される状況だ。1947~48年の4・3事件の際、討伐隊は「済州の海岸から5キロ以上離れた地域の通行を禁止し、違反すれば理由のいかんを問わず銃殺に処する」という布告文を発表し、住民を犠牲にした。
文大統領は「遅すぎた正義は拒否された正義」という米国のマーティン・ルーサー・キング牧師の言葉に触れ、犠牲者と遺族に対する国家レベルでの早急な賠償・補償が実現するよう努力すると語った。そして「法による(被害者に対する)賠償・補償は依然として行われていない」とし「進まぬ足取りに大統領として心が重い。国はまだ最も重要な生存犠牲者と遺族に対して国の道理と責任を果たしていない」と述べた。続いて「被害者と遺族が生存しているうちに、実質的な賠償・補償が実現するよう努力していく」と付け加えた。
文大統領は「4・3の解決は決して政治や理念の問題ではない」とし「命と人権をじゅうりんした誤った過去を清算し、癒していく正義と和解の道だ」と述べた。そして「真実という土台の上で4・3被害者と遺族の痛みを慰め、暮らしと名誉を回復させることは国家の責務」とし「4・3は、より良い世の中を目指す未来世代にとっての、人権と生命、平和と統合の羅針盤となってくれるだろう」と述べた。
文大統領は追悼式後、済州市涯月邑(エウォルウプ)にある英募園(ヨンモウォン)を参拝した。英募園は4・3事件の軍警と民間人の犠牲者の慰霊碑が両方ある所で、済州下貴里(ハグィリ)の住民が募金により独自に作った場所だ。文大統領は「遺族や生存犠牲者と昼食でも共にできれば良いのだが、今選挙を控えた時期なので、またまかり間違えれば誤解もあり得るので、今日は追悼式だけ行って、参拝することで日程を終えようと思う」と述べた。文大統領が済州4・3犠牲者追悼式を訪れたのは2年ぶりだ。4・3は2014年に国家記念日に定められた。追悼式は新型コロナ事態を考慮して簡素に行われた。2年前の追悼式には1万5千人あまりが参加したが、この日の行事は100分の1の150人ほど。出席者の席は屋外に設置され、互いに2メートル以上の距離が取られた。