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[ルポ]70年ぶりに抱きしめた父親の骨箱…済州4・3遺骨の身元確認

登録:2020-01-23 06:38 修正:2020-01-23 09:05
4・3平和財団、遺骨12柱の身元確認報告会 

ひと時も手放せず溺愛してくれた父親 
膝に座ってご飯を食べているときに連れて行かれた父親 
父親の遺骨が見つかったという電話に泣き疲れた遺族たち 
済州4・3犠牲者発掘遺骨の身元確認報告会に出席したある遺族が遺骨を抱きしめて嗚咽している=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 白いふろしきに包まれた骨箱を抱きしめた。こらえていた涙がながれ、やがて嗚咽に変わった。「うれしくもあり、悲しくもあり、死なずに生きてきたから、こんなふうに会える日もあるんだね」

 コ・ヨンジャさん(79・西帰浦市大静邑)は約70年ぶりに会った父親(コ・ワンヘン)の骨箱を抱いてしばらく号泣した。今はこの世を去った4歳上の姉が、以前嫁ぎ先の無事のため5日間お祓いをしたことがあった。お祓いが終わる頃、姉は済州4・3事件の際に連れていかれ生きているのか死んだのかも知らない父親の魂を慰めるために、ジルチキ(魂を安らかにあの世に送る儀礼)の日付を決めた。

 その夜、一度も姿を現さなかった父親がコ・ヨンジャさんの夢枕に立ち、「服を一着作ってほしい」と頼んだ。姉妹は夢に現れた父親に言われた通り、服を作ってクッ(祓いの儀式)をしながら燃やした。30年以上も前のことだ。

済州4・3犠牲者発掘遺骨の身元確認報告会が今月22日午前、済州市第4・3平和教育センターで開かれた=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 22日午前、済州市奉蓋洞(ボンゲドン)の済州4・3平和教育センターで開かれた4・3事件の遺骨の身元確認報告会に出席した遺族たちは、あちこちで号泣していた。済州4・3平和財団は、済州空港で発掘された4・3事件の犠牲者の遺骨を対象に昨年、遺伝子鑑識を行い、行方不明の犠牲者12人の身元を確認して遺族らに報告すると共に、4・3平和公園内の遺骨奉安館に安置した。

 10日前、コさんは済州4・3平和財団から一通の電話を受けた。済州空港で発掘された4・3犠牲者の遺骨の中から父親の遺骨を確認したという連絡だった。「雷に打たれたように驚きました。何度も『本当なのか』と聞き返しました。電話を切って一人で泣き崩れました」

 コさんは「姉と私が幼い時、父親が私たちをとても可愛がって、ひと時も手放そうとしなかったことが忘れられない」としながら、涙を流した。コさんの父親は朝鮮戦争直後、予備検束により済州空港で犠牲になった。

 1949年軍法会議で死刑を言い渡された父親(ヒョン・チュンゴン)の遺骨が見つかったヒョン・ヨンジャさん(78・西帰浦市上孝洞)は立っていることすら辛い様子だった。討伐隊の放火で家が全焼し、ヒョンさんの家族は近隣の親戚の家に避難した。

 ある日の朝、当時7歳だったヒョンさんは父親のひざに座ってご飯を食べていた。誰か訪ねてきて父親を探し、その足で父親は出て行った。それが父親の最後の姿だった。やっとのことで椅子に腰を下ろしたヒョンさんは「アイゴ、お父さん」と何度も呼び、「もう死んでも思い残すことはない」としながら号泣した。

済州4・3事件の際、犠牲になった遺骨の身元が確認された遺族たちが骨箱の前で泣いている=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 今回、1949年軍法会議で犠牲になった父親(ヤン・ジホン)の遺骨が見つかったヤン・チュンジャさん(75・西帰浦市南元邑)は「半月ほど前、済州4・3平和財団から父親の遺骨を見つけたという電話をもらって、驚いて心臓がバクバクした」と語った。「他の土地に行って暮らさなければ長生きできない」という祖母の言い伝えを守り、済州市朝天邑新村小学校で教鞭を取っていた父親は、突然連れていかれて犠牲になった。ヤンさんは法事の度に、学校を訪れて父親の写真を借りる。

 ヤンさんは「済州空港で犠牲になった遺族から連絡が来て、遺骨が見つかったから遺伝子検査をした方がいいと言われた。期待せず検査を受けたが、今回(父親の遺骨が)見つかった。本当にありがたく思っている」と涙声で話した。兄(キム・ヨンハ)の遺骨が見つかったキム・ヨンウさん(西帰浦市吐坪洞)は「1950年の予備検束の際、19歳の若さで無念の死を遂げた兄のことを想うと、悔やんでも悔やみきれない。肉親の遺骨もちゃんと供養できず、70年余りの歳月を罪人になったつもりで生きてきた。これまでの無念が少しは晴れたような気がする」と述べた。

約70年前、行方不明になった父親の遺骨が見つかった遺族が嗚咽している=ホ・ホジュン記者//ハンギョレ新聞社

 ヤン・ジョフン済州4・3平和財団理事長は「遺骨が発掘された済州4・3犠牲者の身元確認率が33%に達する。国防部の身元確認率は2%にも満たない。済州4・3犠牲者たちの身元確認率は国内で記録すべき成果だ。しかし、北部予備検束の遺族など、依然として遺骨がまだ見つかっていない遺族が多い」と話した。ソン・スンムン済州4・3遺族会長は「70年以上、悔しさと無念、怒りを胸に抱いて生きてきた。政府はこれまで発掘された遺骨の身元を確認できるよう支援してほしい」と訴えた。

 済州4・3犠牲者と関連し、済州空港(2007~2009年)で387柱など、2006年から2018年まで計405柱の遺骨が発掘されており、今回確認された12人の犠牲者を含め、遺伝子検査などを通じて身元が確認された犠牲者は133人になる。

ホ・ホジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/jeju/925397.html韓国語原文入力:2020-01-22 15:17
訳H.J

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