総選挙が目前に迫っているが、巨大二党が比例代表用に作った「衛星政党」が選挙の争点を覆い、国会進出を狙った少数政党の立地が過去よりも狭くなったという批判が高まっている。共に民主党と未来統合党、その衛星政党が、選挙法改正以前よりも多くの議席を獲得するという予測が出ており、既得権を持つ二党の構図がより固まり慢性的な対決政治がより深刻になるという憂慮も出ている。
特に進歩派の少数政党は民主党の「小細工の衛星政党結成」過程に振り回され、致命的な打撃を受けた。現在の数値で表われる少数政党の成績表は惨たんたるものだ。韓国ギャラップが17日から19日まで全国の18歳以上の有権者1000人を対象に調査(95%信頼水準、標本誤差±3.1%)した結果、正義党の支持率は4%に落ちた。2018年6月以降で最低値だ。選挙連合政党への参加をめぐる内紛もまだ消えていない。選挙連合政党への参加圧力の中でも踏みとどまった正義党でもこの有様だが、参加を宣言した後に状況がこじれた緑色党と未来党などはさらに深刻だ。緑色党の関係者はハンギョレの電話取材で「選挙連合政党への参加に反発して離党した人が多い」とし、「今は独自路線を行くと宣言したが、その過程で指導部が搖れたのは事実だ。内傷が深く、打撃をひどく受けた状態だ」と述べた。連合政党への参加を覆した未来党も、若者世代を代表するという党の趣旨が色あせるほどひどい傷を負った。市民社会団体と各界の長老たちが参加して民主党に連合政党を初めて提案した政治改革連合も、無気力に解散手続きに入った。
汎進歩陣営が内紛に巻き込まれ、さまざまな少数政党を危機に追い込んだ最大の責任は民主党にある。西江大学現代政治研究所のソ・ボッキョン研究員は「民主党が小政党を潰した。一部の民主党議員は『正義党も(選挙連合政党に参加する)党員総投票をすべきだ』と暴力を振るった。正義党は吹き荒れる台風に辛うじて持ちこたえたのであり、緑色党と未来党は巻き込まれて跳ね飛ばされた。少数政党の支持者がみな“グロッキー”状態になった」と指摘した。ソ研究員は続いて「選挙法は変えたが、旧体制で得をしてきた巨大二党が改正した制度を無力化するために最善を尽くしている。最も深刻な問題は『投票しても巨大二党が全部持っていく』と考える少数政党の支持者が投票に行かなくなること」だと懸念した。
選挙制改革前の第20代国会よりも、巨大二党がより多くの議席を“残らず持っていく”ことがありうる点も深刻な問題に挙げられる。小選挙区制で巨大二党が過大代表になる問題を解決し、少数政党に投票する有権者の票が死票にならないようにしようという選挙法改正の趣旨は、すでに巨大二党の衛星政党結成で無力化した。翰林国際大学院大学のチェ・テウク教授は「過大代表というのは有権者が支持するより多くの議席を確保することだが、民主党と統合党は選挙区議席だけですでに過大代表になるため、連動型比例代表の議席を得られないようになっているのだ。しかし今は衛星政党を作って支持率よりも多くの議席を確保するということだ」とし、「多党制に向けた一歩前進は立ち消えた。過去よりも両政党の総議席数が多くなるだろう」と見通した。