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「検査を受けることも難しく、アジア人ヘイトも」韓国行き航空券は売り切れ

登録:2020-03-25 21:52 修正:2020-03-26 07:23
「特別便で帰国」する海外同胞 
「韓国行き航空券は27~36万円でも入手難」 
イタリアに航空便2機投入し、海外同胞581人を輸送へ 
米国からの入国者は89%が韓国籍… 
スペイン・ドイツからも“集団帰国”検討
韓国政府が27日から米国からの入国者に対する検疫を強化することにした。25日、仁川国際空港第2ターミナル入国審査場で、防疫当局の関係者が欧州からの航空機の乗客に対応している//ハンギョレ新聞社

 スペイン留学生のキム・スヨンさんは、先週ようやく航空券を入手して韓国に帰ってきた。スペインで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が深刻化し、外出禁止令が下され学校が閉鎖されたため、急いで簡単な荷物だけを持って帰ってきた。空港で健康状態チェックを受けて自宅に帰ってきたが、家族たちともできるだけ離れて自宅隔離中だ。

 キムさんは「スペインでは症状があっても検査を受けることは難しく、COVID-19の陽性判定を受けても高齢者と緊急を要する患者だけが入院でき、その他は家にいるしかない」とし、「万一、スペインで陽性判定を受ければ治療も受けられず、面倒を見てくれる家族もいないのでずっと不安だった」と話した。「韓国の方がはるかに良い」と判断して帰国を決心した。一緒に暮らしている友だちが咳をするたびに不安で、アジア人を『コロナ』と呼ぶヘイトムードも辛かったと話した。

 彼女は「私がいた都市には韓国人留学生も多かったが、大学がすべて閉鎖になり旅行もできない状況だ。帰国しようとする韓国人は多いが、韓国行きの航空券は300万~400万ウォン(27~36万円)でも入手が難しい」と伝えた。スペインは24日基準(現地時間)で、COVID-19の累積死亡者が2991人、感染者は4万2058人で、欧州でイタリアに次いで深刻な状況だ。

 COVID-19が世界的に拡散し、キムさんのように海外で暮らしていた留学生や海外同胞が韓国に帰国する例が急速に増えている。積極的な検査、透明な情報公開など“韓国式防疫モデル”が模範事例と評価されたために、より安全な韓国に来たいと考える海外同胞が多くなった影響と見られる。

 韓国外交部は今月31日と4月1日(現地時間)の出発を目標に、イタリアに臨時航空便2機を投じると25日明らかにした。今回の航空便には、ミラノと近隣地域から430人、ローマと近隣地域から151人の計581人のイタリア海外同胞が搭乗する予定だ。当初、イタリア韓人会が自主的に航空会社と交渉し臨時航空便を用意しようとしたが、様々な困難に直面し、結局政府が乗り出した。外交部高官はこの日、記者団に応じ「イタリアの場合、感染者と死亡者が増え続けていて、韓国国民が適切な医療サービスを受けることは困難な状況」と話した。

 米国からも海外同胞が大挙帰国している。23日一日で、米国から韓国に入国した人は計2418人だが、このうちの89%に当たる2144人が韓国籍だった。ニューヨーク発仁川行きの片道航空券は、全便売り切れになっている。欧州も似た状況だ。個別の帰国者が増えているスペインとドイツの場合、航空券の入手がますます困難になり、“集団帰国”も検討している。スペイン韓人会は、今月30日まで帰国需要を調査することにした。ドイツの場合、韓国とドイツを往復する航空路線が来月には一時的に中断される予定なので、海外同胞が特別機の運航のための需要調査を始めた。大韓航空が4月1日から8日の間に帰国を希望する海外同胞を対象にした特別機の運航を検討するために、在独韓人総連合会に需要調査を要請したのだ。

 フィリピン、モンゴル、ウズベキスタン、モロッコ、ボリビア、チリでも、韓国への帰国を希望する海外同胞が増え、政府が航空便の増便や不定期運航、他国の臨時航空便を利用するなど多様な方法を動員して支援している。海外同胞の韓国行きにより、16日には全入国者の半分を占めていた韓国籍者の比重が、23日には90%まで高まったことが分かった。

キム・ソヨン、パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/934217.html韓国語原文入力:2020-03-25 20:34
訳J.S

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