感染症に対応する公共機関の保有する病床が全病床の10%にすぎない国内の公共保健医療体系の問題により、大邱(テグ)・慶尚北道地域で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者が適切な時期に病院治療を受けられない事態が発生したという指摘が出ている。
韓国保健社会研究院のユン・ガンジェ保健医療研究センター長は22日、「新型コロナウイルス感染症-19対応を通じて調べた感染病と公共保健医療」という題の報告書を通じて、「COVID-19の拡大状況で、病室不足による自宅隔離中の死亡事例が現れた背景には、民間中心に病床を拡充してきた公共保健医療体系の問題点が潜んでいる」と指摘した。
2017年基準で、韓国の人口1000人当たりの病床数は12.3床で、経済協力開発機構(OECD)30カ国のうち、日本(13.1床)に次いで2番目に高い水準だ。OECDの平均値(4.7床)の2.6倍に達するなど、病床の過剰供給が懸念される状況だという。一方、人口1千人当たりの公共医療機関の病床数は1.3床で、OECD平均3.0床を大きく下回る。全病床のうち、公共医療機関が保有している病床の割合も同様に10.2%(OECD平均70.8%)とOECD諸国のうち最下位圏に属した。
このように、COVID-19のような感染病に対応する公共医療機関の病床の絶対量自体が非常に足りない状況では、患者を収容できる病床はすぐに底をつく。しかも、短い時間に患者が急増する場合、中央-地方政府、政府-民間領域間の連携を通じて地域医療資源を効果的に分配する公共保健医療体系が作動しなければならないが、このような部分もまた迅速に運用されなかったと報告書は指摘した。
ユン・ガンジェ・センター長は感染病への対応のために「国立大病院と地域拠点の公共病院には陰圧病床数の拡大を義務付けるか、少なくとも移動型陰圧器を一定台数以上確保するように義務付け、これによる損失分を良識的なな赤字と認め、補てんすべきだ」と提案した。また、公共医療機関の比重が低い現実では、感染病対応のための民間医療機関の協力と投資を引き出す案も必要だとした。陰圧病床の設置・運営に伴う財政的負担を支援したり、緊急患者が多数発生した場合、損失補てんを制度化する必要があるということだ。