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過労・感染・被爆の心配で「三重苦」…大邱・慶尚北道の放射線医らの力に余る1カ月

登録:2020-03-19 07:02 修正:2020-03-19 08:24
業務量が2倍に増えて休む暇がなく 
防護服の上に放射線遮断服を着たまま 
500キログラムの装置を引っ張って陰圧室を行ったり来たり 

「汗まみれで動くのも大変」 
燃え尽き症候群の危機…「人材補充すべき」
COVID-19選別診療所の放射線撮影室で撮影を準備中の大邱医療院の放射線医のパク・ジンヒさん=パク・ジンヒさん提供//ハンギョレ新聞社

 「応急コールが来ました!」

 午後1時を過ぎて構内の食堂でやっとご飯を一匙すくった2年目の放射線医のKさん(24)に緊急の連絡が入った。医療チームが放射線医に送る「応急コール」は、重病患者の緊急放射線撮影が必要だという意味だ。すぐにスプーンと箸を下ろしたKさんは、急いでレベルD防護服を準備して着た。この防護服だけでも手に余るが、その上に放射線被ばくを防ぐ遮蔽服も重ねて着なければならない。動きが鈍くなった体で同僚と共に500キログラムの移動式放射線装置を引いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陰圧室に向かった。大邱(テグ)でCOVID-19患者が爆発的に増えてから1カ月余り、1日200人近い患者の胸部放射線撮影をするために適時に食べられず、眠れず、休むことができないのはKさんの日常になった。

 18日、Kさんを始めとするハンギョレの取材に応じた大邱・慶尚北道地域の放射線医3人の話を聞くと、過去1カ月の間で彼らの業務量が多い場合は2倍程増えたという。Kさんの場合、今年1月だけでも1日平均80人を撮影した。急増した業務で休む暇はない。休日なしで3交代で働くが、夜通し働かなければならない当直も1週間に2回ずつ回ってくる。COVID-19担当病院である大邱医療院の放射線医のパク・ジンヒさん(57)は「COVID-19以後、普段は数十件だった放射線撮影が1日平均100件以上になった」と伝えた。

 放射線医の業務がこのように増えたのは、肺炎を誘発するCOVID-19の特性のためだ。胸部を放射線で撮影した際に肺側がぼやけているように見えれば、肺炎患者やCOVID-19患者である場合が多い。そのためCOVID-19に感染しても症状がない人の診断を正確にしたり、肺炎を病むCOVID-19患者の経過を見るには、放射線撮影が必要だ。カトリック大学恩平(ウンピョン)聖母病院感染内科のチェ・ジョンヒョン教授は「既存のCOVID-19診断に映像診断方法を合わせれば診断の正確度が高くなる」として「胸部放射線撮影はCOVID-19に伴う肺炎など呼吸器疾患で重要な診断手段」だと話した。

 業務量急増よりも怖いのは、被ばくの心配だ。通常の放射線撮影は被ばく保護がちゃんとされている放射線室で行う。しかし、COVID-19重症患者は陰圧室の外に出て行くことができないので、胸部撮影が必要な場合は放射線医が直接移動式装置を持って行かなければならない。放射線にそのまま露出するのを防ぐために遮蔽服を着るが、放射線医の業務量があまりにも多いので、怖さまでは防ぐことができない。パク・ジンヒさんは「遮蔽服を着ても移動式で多くの患者を撮影しなければならないという点で被ばくを心配する放射線医がいる」と伝えた。

 レベルD防護服の上に遮蔽服を着こんでいるので体力の消耗も激しい。パクさんは「防護服だけを着ても汗まみれなので、2種類の服を着て業務をするのは本当に大変だ」と訴えた。Kさんは「機動性が落ちて働きにくい。忙しくて業務が多ければ、レベルD防護服だけを着て遮蔽服は着ない時もある」と話した。

 彼らの「バーンアウト」(燃え尽き症候群)を防ぐには人材補充が必要だ。大邱・慶尚北道地域にある病院のチーム長級の放射線医は「放射線業務はボランティア人材が投入されていない所もあり、病院内の放射線医が自主的に追加勤務を続けている」と伝えた。大韓放射線医協会のイ・ヒョンヨン副会長は「COVID-19感染者との接触などで80人以上の放射線医が自宅隔離された。既存の人材が抜けて人手不足の状態」だとしながら「COVID-19の拠点病院を中心に人材補充が必要だ」と話した。

パク・ジュンヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/933190.html韓国語原文入力:2020-03-19 02:30
訳M.S

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