文在寅(ムン・ジェイン)大統領の指示で稼動される「非常経済会議」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態で急速に悪化している経済に迅速に対応するための政策を樹立し、執行するためのものだ。経済が非常事態の中、最高意思決定機関の役割を果たし、第2次補正予算案の編成や災害手当の支給など、大きな対応策が議論されるものと見られる。
2008年の世界金融危機以来12年ぶりに、大統領が出席する非常経済会議の稼動を決めたのは、COVID-19事態がもたらした未曾有の経済衝撃に立ち向かうため、より効果的かつ迅速に対策を推進する必要性が高まったためだ。韓国政府関係者は「非常経済会議で、COVID-19事態関連の緊急処方と対策を中心に、すべての議題を検討することになるだろう」とし、「大統領が主宰するため、より迅速な意思決定がなされ、推進力も高まる」と述べた。
非常経済会議ではまず、第2次補正予算案の編成問題が議題になるものと見られる。11兆7000億ウォン(約1兆円)規模の補正予算案がこの日国会で合意されたが、これまでの審議過程で与党と経済界を中心に補正予算規模を大幅に増やすべきだという声が高まってきた。しかし、すでに提出された補正予算案を大きく揺るがした場合、審議が遅れ、予算を適時に執行できないという現実的な理由から、ひとまず急いで国会で成立させ、第2次補正予算を議論する方向で意見をまとめたという。
文大統領も同日の国務会議(日本の閣議に相当)で「大々的な消費刺激と内需の活性化に向けた対策を本格的に推進していく準備をしなければならない」とし、「今回の補正予算は終わりではなく始まり」だと述べた。
一部の地方自治体で自主的に施行する「災難手当」も非常経済会議の案件として取り上げ、全国に拡大する案が議論される見通しだ。文大統領は政策の優先順位を強調し、「脆弱階層や仕事を失ったり生計を立てることが難しい人、失業の危険に直面した労働者、小商工人・自営業者が耐えられるようにしなければならない」と強調した。大統領府の関係者は「支援金の名称にかかわらず、政府がより確実で積極的な役割を果たすという方向は確実だ。最も重要視しているのは、公平かつ効率的な支援システムを作ることだ」とし、「財源調達案は(重要度においては効率的な支援システム作りより)劣後する」と述べた。別の大統領府関係者も「災難による被害が(貧富と階層によって)不平等にならないように力点を置く」と述べた。大統領府政務首席室は最近、ソウル市や京畿道、慶尚南道など広域自治体が提示した現金性支援案を検討し、専門家の意見をまとめたことが確認された。
文大統領が主宰する初の非常経済会議は19日、大統領府で開かれる予定だ。運営方式や構成などは、ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官が18日午前、「COVID-19対応経済長官会議」で明らかにする計画だ。過去の通貨危機や世界金融危機の事例を参考にすると、ホン副首相をはじめ、経済省庁の長官や大統領府の経済参謀らが中心になる見通しだ。企業家や経済専門家が参加する可能性もある。非常経済会議前日の18日には、大統領府で財界や労働界、政府与党と大統領府の関係者らが出席する経済主体円卓会議を開き、COVID-19克服策について議論し、協力を求める方針だ。
一方、金融委員会は金融市場の不安が続く中、同日午前、緊急金融市場点検会議を開き、債券市場安定基金など市場安定措置の実施時期を具体的に検討し始めた。ウン・ソンス金融委員長はこの場で「必要な場合、非常計画(コンティンジェンシープラン)による金融市場安定化策が直ちに稼動できるよう、準備に万全を期すよう」要請した。金融委は市場安定措置として、2008年金融危機の際に動員した債券市場安定ファンドや債券担保付証券(P-CBO)、金融安定基金などを具体的に提示した。金融委は「今後株式市場が安定するまで、毎日取引開始前に市場点検会議を開催する予定だ」と発表した。