1兆300億円、17日の本会議で議決が目標
野党、歳入補正予算・商品券を問題視し
国会内外で「補正予算の拡大」求める声も
パク商工会議所会頭は3兆5千億円、ホン議員は2兆2千億円を主張
政界では災害基本所得の要求も相次ぐ
ソウル市長「中位所得以下に5万2千円ずつ」支給すべき
政府与党「政府案通過してから」増額には難色
専門家ら「大規模な第2次補正予算が必要」
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の被害支援と景気対策に向けて韓国政府が提出した11兆7千億ウォン(約1兆300億円)規模の補正予算案に対する国会審議が10日、本格的に始まった。このような中、COVID-19の拡散による脆弱階層の被害が深刻で、世界経済低迷の懸念も高まる状況であることから、政界などを中心に補正予算の規模拡大や災害基本所得の導入、第2次補正予算の編成などを求める声が相次いでいる。
国会行政安全委員会など各常任委は同日午前、全体会議を開き、各委員会の所管省庁の補正予算案の審議を開始した。与野党は臨時国会最終日の17日の本会議での補正予算案の処理を目標に、一週間余りの短い期間で迅速に補正予算案審査を終える方針だ。
しかし、11兆7千億ウォン規模の補正予算案のうち、3兆2千億ウォン(約2800億円)規模の歳入補正予算の適切性と、内需の活性化などのために低所得層などに提供される「商品券」などを未来統合党が問題視しており、審議過程で難航が予想される。国会予算決算特別委員会幹事のイ・ジョンベ未来統合党議員はこの日、「歳入補正予算は、歳入が足りないことを予想して結局国債を増やすという話」だとし、「各種商品券の支給も実効性を考えてみる必要がある」と述べた。イ議員はさらに、「乳幼児に対する緊急保育支援策や防疫マスクの確保、病床不足など医療システムの拡充などを補正予算案の審査過程で争点化する」と述べた。一週間あまりの短い補正予算案の審査だが、追及すべきところは追及するという意味だ。
しかし、国会内外では補正予算の規模をさらに拡大すべきだという声も高まっている。政府が補正予算案を編成した当時とは異なり、現実のものとなったCOVID-19の世界的大流行(パンデミック)が世界経済を脅かす状況であるからだ。これに先立ち、大韓商工会議所のパク・ヨンマン会長が「前代未聞の状況を迎え、産業界への被害が全面的に広がっている。COVID-19による成長率の低下を挽回するために、40兆ウォン(約3兆5千億円)に近いお金が必要だ」と要求したのが代表的な事例だ。国会行安委の民主党幹事のホン・イクピョ議員もハンギョレとの電話インタビューで「MERS(中東呼吸器症候群)当時と同じ規模だが、その時と比較にならないほど経済的な影響が大きい」としたうえで、「補正予算の規模は25兆ウォン(2兆2千億円)以上にすべきだ」と主張した。
COVID-19に対応するための大規模な財政投入は、すでに世界各国のコンセンサスになっている。これに先立ち、中国の雲南省など7地域の地方政府はCOVID-19の克服に向けた25兆元(4200兆ウォン以上)規模の投資計画を発表した。イタリアと香港政府などもCOVID-19に対応するための緊急予算を編成している。
政界を中心に災害基本所得(ベーシックインカム)など新しい政策実験を求める声も高まっている。ソウル市のパク・ウォンスン市長は同日、「基礎生活保障や失業給与など、既存制度の恩恵を受けられない中位所得以下の全世帯に60万ウォン(約5万2千円)ずつ支給する災難緊急生活費の早急な導入を政府に建議する」と述べた。パク市長は、このような所得支援策に4兆8千万ウォン(約4200億円)が所要されるものと推算した。シム・サンジョン正義党代表も「全国的に一度に支給するのが難しいなら、大邱(テグ)・慶尚北道地域に1人当たり100万ウォン(約8万8千円)ずつ災難基本所得を支給しよう」と繰り返し主張した。これに先立ち、イ・ジェミョン京畿道知事とキム・ギョンス慶尚南道知事が災害基本所得を主張したのに続き、革新陣営を中心に災害基本所得の導入を求める声が本格化している。
しかし政府与党は、国会に提出された補正予算案の通過が優先だという立場だ。共に民主党のイ・イニョン院内代表は「常任委と予算決算特別委で被害支援の範囲を拡大し、支援金額を現実化したら、政府が積極的に受け入れることを求める」としながらも、「大規模な補正予算増額論」については慎重な態度を示した。イ院内代表は「今は何よりもタイミングが重要だ。合意に達しにくいほどの拡大議論で補正予算の処理が遅れてはならない」と強調した。ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官も同日、国会で災難基本所得に対する立場を問うシム・サンジョン議員の質疑に「政府としても検討してみたが、長所もあるが様々な問題もあるため、簡単には同意できないのではないかと考えている」と答えた。
被害者支援に留まる“ピンポイント補正”の後、大規模な第2次補正予算を編成する可能性を残しておくべきという指摘もある。約一週間に過ぎない補正予算案の審査期間を考慮した現実論だ。チュ・サンヨン建国大学教授(経済学)は「供給面の危機まで迫ってくると、今の規模の財政支援では景気反発を期待することは難しくなるだろう」とし、「緊急に編成した補正予算では被害者支援に集中し、その後第2次補正予算を念頭に置かなければならない」と指摘した。ホン・イクピョ議員も「この程度の規模の補正予算では、必然的に第2次補正予算の話が出ざるを得ない」と述べた。