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共に民主党、「コラム告発」取り下げたが…収拾過程も“総体的な難局”

登録:2020-02-15 06:58 修正:2020-02-15 15:50
「イム・ミリ教授告発」を主導したと言われる共に民主党のホン・イクピョ首席報道官が今月14日午前、ソウル汝矣島国会議員会館で記者たちの質問に答えている//ハンギョレ新聞社

 共に民主党が13日、「民主党以外(の候補)に投票すべきだ」という内容のコラムを寄稿した教授と新聞社を告発したものの、翌日の14日、告訴を取り下げた。「表現の自由を萎縮させる傲慢な態度」という党内外の激しい批判を受けたためだ。しかし、告発を取り下げる過程で示した民主党の対応が、またもや物議を醸している。党の公報局がショートメールで取り下げの事実を伝えつつ「遺憾」を表明しただけで、寄稿者の「安哲秀(アン・チョルス)陣営出身」の前歴を問題視し、告発を正当化する態度まで示したからだ。党レベルの公式謝罪もなく、責任を取る者もいなかった。民主党議員の間からも、党指導部の安易な状況認識を糾弾する声があがっている。

■「安哲秀陣営出身だから、告発した」と告白

 民主党は14日午前、記者団宛に公報局名義のショートメールを送り、「イム・ミリ教授及び京郷新聞に対する告発を取下げる」とし、「我々の告発措置が過剰だったことを認め、これに対し遺憾の意を表する」と明らかにした。

 前日、民主党が告発したコラムは「京郷新聞」1月29日付に掲載されたイム・ミリ高麗大学韓国史研究所研究教授の「民主党以外に」と題する文章だ。民主党は、イム研究教授がこのコラムで「ろうそく政権であることを掲げながらも、国民の熱望より政権の利害に没頭」している民主党を批判し、「『民主党以外に』投票しよう」と書いた内容を問題視した。イム教授と「京郷新聞」関係者が公職選挙法第58条の2(投票参加勧誘活動)条項に違反したという主張だ。しかし、同条項は公式選挙運動期間ではない場合、投票参加の勧誘を口実に選挙秩序を混乱させる行為を禁止・処罰するためのものだ。

 民主党は同日午前、国会議員会館で開かれた拡大幹部会議で「告発の取り下げと謝罪」の方針を決めた。複数の最高委員はハンギョレとの電話インタビューで、「最高委員らが口をそろえて告発は不適切だと指摘していた。遺憾表明ではなく、謝罪すべきだというのが最高委員全員の意見だった」と伝えた。しかし、党は遺憾の意を表した。

 遺憾表明のやり方も問題だという指摘もある。党代表の名義で告発を行ったなら、謝罪や遺憾表明も党代表がするのが筋だからだ。しかし、イ・ヘチャン代表を含む指導部のうち、誰も公に謝罪や反省のメッセージを出さなかった。

 特に民主党が告発を撤回する際、寄稿者の前歴に触れたのは“最悪の対応”とされる。党はショートメールで「イム教授は安哲秀のシンクタンク『明日』の実行委員出身」だとし、「京郷新聞に掲載したコラムが単なる意見表明以上の、明白な政治的目的があると判断して、告発を進めた」と明らかにした。敵味方を分け、政治的意図を疑い、相手側というレッテルを貼って告発したという“告白”であるわけだ。

■「中道層の離反を招く。党が候補を助けてほしい」

 選挙準備に余念のない民主党議員のほとんどは、この事案を“悪材料”と見て、党の前向きな措置を求めた。

 有力な次期大統領候補で共同選挙対策委員長に内定したイ・ナギョン前首相は前日午後、ユン・ホジュン民主党事務総長に電話をかけ、「イム教授への告発を取り下げたほうがいい」という意見を伝えた。

 キム・ブギョム議員(大邱寿城区甲)も同日午前、自分のフェイスブックに「大邱慶北で選挙を行っている私を含むわが党の予備候補を助けてください」とし、「保守層の攻撃はいくらでも耐えて、私なりに説得しますが、若い中道層が首を横に振ればどうすることもできません。今回の件は誰が何と言おうと中道層の離反を招く可能性が高いです」という書き込みを残した。ホン・ウィラク議員(大邱北区乙)もフェイスブックに「傲慢と言わざるを得ない。驕慢は敗亡の先鋒だ。民主党の話だ」とし、「どうしてイム教授の小さな非難さえも耐えられず、聞く耳を持たないのか、分からない。恥ずかしく申し訳ない」と書いた。チョン・ソンホ議員も「傲慢は偉大な帝国と英雄も破壊した」とし、「常に謙虚な姿勢で国民の声に耳を傾けるべきだ。価値の相対性を認め、多様な意見を受け入れるべきだ」という内容の文を掲載した。

 ある新人議員は「今は首都圏の状況が深刻だが、指導部はのんきすぎる。議員たちが非常に怒っている。(告発を)取り下げるメッセージも傲慢きわまりなく、誰も責任を負わない。責任ある人物の公認脱落まで行かない限り、党は心を入れ替えないだろう」と非難した。

■自分の首を絞めている民主党

 今回の告発は戦略的にも失敗だが、論理的にも民主党の自滅という批判の声もあがっている。選挙法違反の疑いで弾劾の危機にまで追い込まれた盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領を継承する政党で、選挙法を用いて批判勢力を締めつけようとするのは、筋が通らないということだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2014年、産経新聞の加藤達也支局長の起訴を批判した内容も再び取りざたされている。当時、文議員は「報道内容が事実と異なるからと言って、名誉毀損で検察が捜査し起訴したのは間違っている」と述べた。検察改革を進めながら、告発を乱発する行動も、つじつまが合わないという指摘が多い。

 参与連帯は論評を発表し、「自ら“民主”を標榜する政党が表現の自由を保障するために選挙法を改正するどころか、こうした悪法の規定を利用するのは不適切だ」とし、「政治的事件を告訴・告発で解決する“政治の司法化現象”がもたらした弊害が何だったのか、振り返ってみるべきだ」と批判した。

キム・ウォンチョル、イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/928305.html韓国語原文入力:2020-02-14 21:53
訳H.J

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