共に民主党が「選挙で民主党以外に投票すべき」という内容のコラムを日刊紙に投稿した大学教授と新聞社の責任者を公職選挙法違反の疑いで検察に告発した。政権与党が最近になって告訴・告発を乱発し、選挙を前に表現の自由を萎縮させる傲慢な態度を示しているという批判が出ている。
民主党が告発したコラムは、1月29日付「京郷新聞」掲載の、高麗大学韓国史研究所のイム・ミリ研究教授の「民主党以外に」と題する文章だ。民主党はイム研究教授がこのコラムで「キャンドル政権を自任しながら、国民の熱望より政権の利害に没頭」している民主党を批判し、「『民主党以外に』投票しよう」とした内容を問題視した。イム教授と京郷新聞の関係者が公職選挙法58条の2(投票参加勧誘活動)条項に違反したというのだ。しかし、この条項は公式の選挙運動期間ではない時期における投票への勧誘を口実とした選挙運動によって選挙秩序を乱す行為を禁止・処罰するための条項だ。
民主党のホン・イクピョ首席報道官はこの日、ハンギョレの電話取材に対し、「選挙の時期に民主党以外に投票せよと堂々と見出しをつけ、コラムを掲載した。市民団体も落選運動をしてはならないことになっているのではなかったか」と主張した。
イム教授はこの日、ハンギョレに対し「こうしたコラムまで出せなくしたら、我々は何も言えなくなる」とし「かつての民主化運動から誕生した民主党が、司法府の力を借りて表現の自由を萎縮させる行動を示したというのは、公党の資格がない証拠」と批判した。
民主党の告発は選挙法の条項の立法趣旨とは程遠い上、表現の自由を深刻に萎縮させる可能性があるという批判が出ている。ソウル地方弁護士会長を務めたキム・ハンギュ弁護士(法務法人共感)は「自分の考えを述べたイム教授のコラムを、選挙法が懸念する『選挙秩序を乱す行為』と見なせるかは疑問」とし、「今回の告発は、総選挙を2カ月後に控え、与党批判をできなくさせようという事前警告ではないかと憂慮される」と述べた。
フェイスブックなどのSNS上では、同コラムの見出しでもある「#民主党以外に」というハッシュタグとともに、民主党を批判する「私を告発せよ」運動が広がっている。Kさんはフェイスブックに「#民主党以外に」のハッシュタグとともに「今回の告発で常識ある民主党支持者の多くが背を向けるだろう」とし、Yさんは「イム・ミリさんのコラム、私も共有した。私も告発せよ」と主張した。また別のKさんは「イム・ミリ教授のコラムに全面的に同意するわけではないが、このようなコラムを書いたと告発する所業は、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権でもなかったこと」と指摘した。チン・ジュングォン元東洋大学教授もフェイスブックに「リベラル(自由主義)政権が表現の自由を抑圧している」とし「民主党には絶対入れないようにしよう。私もイム教授とともに告発されるつもり」と書いた。
野党も批判した。正義党のカン・ミンジン報道官は「新聞のコラム欄はそもそも権力層に対する鋭い批判が飛び交う空間だ。コラムで批判したからといって告発されたら、それも告発の主体が政権与党だったら、誰が萎縮せずに自由にものが言えるのか」と述べ、告発の取り下げを求めた。