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心の傷抱えたまま退院…新型コロナから回復した人の心理治療支援は不十分

登録:2020-02-14 06:24 修正:2020-02-14 08:19
激しいストレスと不安・非難で 
精神的な苦痛を訴える声相次ぐ 
対策本部「トラウマセンターに相談してほしい」 
「国が積極的に支援すべき」という指摘も
中国武漢からのチャーター機第3便で帰国した在中韓国人と中国国籍の家族140人が今月12日午前、臨時生活施設の京畿道利川合同軍事大学国防語学院に到着し、隔離生活に入った。同日、金浦空港に到着した子どもが移動するバスの中で窓の外を眺めている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

  COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の患者として隔離されて治療を受けていた人たちが回復し、次々と退院しているが、日常に戻った彼らの心理的不安を軽減する心理治療支援はまだ行われていないことが確認された。12日に退院した3人目の患者(54・韓国人男性)は、入院治療を受ける過程で激しいストレスを経験したため、メンタルヘルス医学科の診療を並行した。症状が現れてから、動線が公開され、自分を非難する悪質な書き込みやメディアの報道を見て、ほとんど眠れなかったという。明知病院の医療陣は彼にテレビやインターネットを見ないことを勧めた。3人目の患者のほかにも感染病に対する不安や個人情報の流出、自分に向けられた非難によって精神的苦痛を訴える患者が多い。

 ホン・ジョンイク保健福祉部精神健康政策課長は13日、「COVID-19の患者が治療の過程で相談が必要な場合は、当病院のメンタルヘルス医学科専門医の診療を受けさせ、このような処置が難しい時は国家トラウマセンターに依頼をしてほしいと話した」とし、「退院後には管轄保健所が患者にショートメールで心理相談について案内し、国家トラウマセンターに患者の連絡先を共有する相談依頼システムを構築した」と説明した。しかし、5日から同日まで7人の患者が退院したが、国家トラウマセンターに来た相談依頼は1件もないという。

 保健当局は感染が確認された患者や隔離者に対する心理支援のため、国家トラウマセンターや国立精神医療機関、メンタルヘルス福祉センターなどで構成された統合心理支援団を運営している。自宅隔離者や隔離が解除された人は、管轄の保健所から相談依頼を受けた地域のメンタルヘルス福祉センターが心理支援を行う。同日午前9時基準で、隔離者に対しては合わせて129件の相談があった。

 専門家らは、患者たちが深い心の傷を負ったものと見ている。2015年、MERS(中東呼吸器症候群)心理危機支援団長を務めたシム・ミニョン国立メンタルヘルスセンタートラウマ事業部長は「注目が集まるため、災難被害当事者らは隠れようとする。序盤に安定せず時間が経てば不信感や不安が深まる恐れがある」と指摘した。特に感染病患者の心理的苦痛が大きい理由について、シム部長は「一般的な災難被害とは異なり、感染病に対しては自分も感染するかもしれないという不安感が大きいため、患者たちを気の毒な存在ではなく、悪い存在と見なす傾向がある」とし、「怒りの対象になる人にとっては心理的打撃が大きくならざるを得ない」と説明した。

 新型コロナウイルスに感染してから回復した人たちが周りにいたらどう接すればよいだろうか。シム・ミニョン部長は「歓迎はするものの、普通に接してもらいたい」とアドバイスした。同じ質問を繰り返し受けるため、過度な関心や好奇心が彼らを傷つける結果になる可能性があるからだ。

パク・ヒョンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/928191.html韓国語原文入力:2020-02-14 02:40
訳H.J

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