淑明女子大学法学部に合格したものの一部の在学生らの反発に会い、入学をあきらめたトランスジェンダーの合格者Aさん(22)への応援がオン、オフラインで続いている。SNSではAさんの側に立つという意味を込めたハッシュタグ運動が行われ、淑明女子大学の同窓生たちもキャンパスにAさんを励ますメッセージを記した壁新聞を貼り出した。
10日、ソウル龍山区(ヨンサング)の淑明女子大学のキャンパスには、Aさんを励ます同窓生たちの電子メールを抜き出した壁新聞が貼り出された。以前にAさんの入学を歓迎する同大同窓生による連名の声明を集めた同大卒業生のユ・ヨンジュさん(50)がまとめたものだ。7日に「個人情報流出の恐れなどがある中で学校生活に耐えられるのか、悩んだ」として、Aさんが入学辞退の意思を明らかにすると、声明に参加した同窓生たちが再びユさんにAさんへの支持を伝えてきたという。メッセージには「自分は女性だという確固たるアイデンティティを放棄せず、厳しい世界で勇気をもって一歩を踏み出した学生のその勇気は称賛されて然るべきだ。淑明を最初の寄る辺とした学生が向き合うべきは軽蔑と冒涜ではなく、温かい歓待と支持だと思った」「今後、その友人が活動したい空間で思う存分学び、仕事をしていけるよう、あるべき場を守り精一杯応援する」という内容などが盛り込まれた。
ユさんはハンギョレに対し「Aさんが入学しないことにしたという話を聞いてとても申し訳なく思った。同窓生のメールを見たら、Aさんを支持する気持ちは同じだったのだと思い、こみ上げるものがあった」と話した。続いて「すでに決まってしまったことだが、今からでもこうした気持ちが伝えられればと思い、壁新聞を貼り出すことにした」と述べた。Aさんは性転換手術後、裁判所で性別訂正許可を受け、淑明女子大学法学部2020年新入生として合格したが、新入生による大学授業料納付の最終日だった今月7日、結局は入学を断念した。
ツイッターでも「#これからも_私は_トランスジェンダー_Aさんの_味方です」というハッシュタグを付けた支持のツイートが相次いでいる。「より良い未来を生きるトランスジェンダーAさんを応援する」、「誰でも平等な教育機会を得て安全に生きていけるその日まで、私はあなたの味方だ」、「いつかきっと弱者のそばに寄り添う頼れる法曹人になって帰ってくることを信じて待つ」などだ。ツイッターのある利用者は「同大学(淑明女子大)に通うFTM(女性から男性に転換したトランスジェンダー)だ。学校がこの合格者を受け入れるには器が小さすぎたようだ。どうか夢をあきらめず、ぜひ生き続けて行ってください」と書いた。
今回のことをきっかけに、韓国社会がマイノリティをどう受け入れるかについて、より積極的な議論が行われるだろうという見方も示されている。初のトランスジェンダー弁護士であるパク・ハンヒ弁護士はハンギョレの電話取材に対し、「多くの人々は今回のことをきっかけに、これまでテレビの中の存在と思っていたトランスジェンダーが、職場の同僚や家族としても存在しうると感じただろう。学校の立場から見ても、トランスジェンダー入学について議論するきっかけとなりうる」と述べた。