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「負い目ある」チョ前長官庇い、「選択的捜査」には不満漏らした文大統領

登録:2020-01-15 06:08 修正:2020-01-15 09:32
[文大統領の年頭記者会見] 
 
チョ・グク一家の不正には言及せず 
「艱難辛苦を経験した…対立終わらせてほしい」 
 
蔚山市の選挙介入疑惑に対する質問には 
「捜査中なので言及するのは不適切」
文在寅大統領が今月14日午前、大統領府迎賓館で開かれた2020年年頭記者会見で記者たちの質問に答えている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日開かれた年頭記者会見で、チョ・グク前法務部長官に対して「負い目」を感じるとし、依然として強い絆を示した。一方、検察に対しては「捜査に選択的に取り組んでいる」とし、不満を隠さなかった。

 文大統領は同日、昨年8月の検察捜査以降、国民世論を二つに分けた「チョ・グク一家の不正」について直接的な言及を避けた。その代わり、いわゆる検察改革立法に対するチョ前長官の功労を高く評価した。「公捜処(高位公職者犯罪捜査処)法と検警捜査権調整法案通過に至るまで、チョ前長官が民情首席として、法務部長官として果たした貢献は非常に大きいと思う」とし、「チョ前長官がこれまで経験した艱難辛苦を考えると、非常に大きな負い目を感じている」と述べた。一家の不正疑惑から始まった検察捜査を「艱難辛苦」、つまり正当なことをして受けることになった苦難に例えたのだ。

 文大統領はわいろ、公職者倫理法違反などチョ前長官の容疑の大半が大統領府在職当時のことであることが明らかになったにもかかわらず、指揮・監督責任者として立場を明らかにしなかった。「あの方の有罪や無罪は、捜査や裁判の過程で明らかになるだろう」と簡単に言及しただけだった。その代わり、文大統領は「チョ長官の法務部長官任命によって国民の間に多くの対立と分裂が生じ、その対立が今でも続いている点に対して誠に申し訳なく思う」とし、「その問題をめぐる対立はもう終わらせてほしいと、国民に申し上げたい」と述べた。

 一方、文大統領は、現政府の関係者を対象に行われている検察の捜査に対しては、不満を隠さなかった。文大統領は「ある事件に対してのみ選択的に熱心に捜査し、ある事件はきちんと捜査しないなら、捜査の公正さに対する国民の信頼を失うことになるだろう」と述べた。「ある事件」とは、チョ前長官一家の不正やユ・ジェス監察のもみ消し、蔚山(ウルサン)市長選挙への介入疑惑など、現政権への捜査を指すものとみられる。

 文大統領は記者会見中に蔚山市長選挙への介入疑惑事件について、「検察が捜査中なので言及するのは適切ではない」と述べ、直接的な発言を控えた。しかし、検察が疑いを持っている「公共病院の設立」などのソン・チョルホ蔚山市長の公約については、2012年と2017年大統領選挙の際、自ら採択した公約という点を強調した。法的問題がないという自分の判断を遠まわしに表現したものと言える。

 文大統領の記者会見を見た法曹界関係者は、「文大統領はこれまで、口では厳正な捜査を強調してきたが、今回の会見では大統領府や大統領府在職者が検察の捜査を受けることに対する最小限の遺憾表明すらなかった」とし、「文大統領は政権と大統領府の長として責任意識が明確でないようだ」と述べた。

カン・ヒチョル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/924450.html韓国語原文入力:2020-01-15 02:30
訳H.J

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