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最低賃金労働者、時給上がったが月給は減った

登録:2020-01-06 02:43 修正:2020-01-06 13:25
韓国労働社会研究所の分析報告書 
事業主による「労働時間削減」などの影響 

低賃金労働者の賃金引き上げには役立ったが 
低賃金労働者の月給はかえって下落
賃金階層別に見る時給換算と月給換算の賃金上昇率//ハンギョレ新聞社

 昨年、賃金額下位20%の労働者たちの時間当たり賃金は最低賃金引き上げの効果により上昇したが、月給で比較するとむしろ1年前より下がったという分析が出た。政府の政策による短時間雇用の増加など複合的な要因が影響したものだが、事業主による労働時間の削減による副作用が現れた面もあり、制度改善の必要性が指摘されている。

 5日に韓国労働社会研究所が発表した『2018~2019年 最低賃金の引き上げが賃金の不平等の縮小に及ぼした影響報告書』によると、賃金下位10%と10~20%層の前年と比べた2019年の時間当たり賃金の引き上げ率はそれぞれ8.3%、8.8%で、40~100%層の引き上げ率(0.6~8.2%)に比べて高い水準だった。一方、同期間の月給の変化を見ると、下位10%層と10~20%層は、賃金引き上げ率がそれぞれ-4.1%と-2.4%を記録した。60~80%層が0.1~0.2%と若干減少しているものの、他の階層では月給が総じて上がっているのとは対照的だ。今回の報告書は、統計庁経済活動人口調査・労働形態別付加調査資料(各年度の8月基準)をもとに分析したものだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権の最低賃金引き上げ政策により、時間当たりの最低賃金は2018年に7530ウォン(前年比+16.4%)、2019年に8350ウォン(同+10.9%)となっている。

 同報告書は、最低賃金の引き上げによる負担を減らそうとする事業主が、労働基準法上、短時間労働者には義務を履行しなくてもいい点を悪用し、労働時間を減らすやり方で対応していることに注目した。週15時間未満に労働時間を減らせば、有給週休や年次有給週休、退職金を払わなくてもよく、雇用保険・国民年金・健康保険の加入義務を負わなくてもよい。実際、昨年8月現在で下位10%層と10~20%層は1年前より週あたりの労働時間がそれぞれ2.8時間、3.1時間減少した。下位10%層の場合、超短時間勤務労働者の割合が2018年の33.7%から昨年は41.9%まで増加した。

 このような事情から、最低賃金が本格的に値上がりし始めた2018年と2019年にわたって時間当たりの賃金引き上げ率は下位10%層が19.9%(2017年に対する2019年の率)と、他の階層に比べて最も高いが、月給引き上げ率は同期間に1.9%と最も低迷している。このような脈絡から、低賃金階層労働者の割合の推移も注目に値する。「平均賃金の3分の2未満」しか稼げていない低賃金階層の割合(月賃金基準)は2017年の410万人(20.5%)から2018年には359万人(17.9%)に減ったが、昨年再び444万人(21.6%)に増えた。上位10%の境界値と下位10%の境界値を比較した賃金格差(賃金の不平等水準)も、時間当たりで見ると2017年の4.13倍から2018年には3.75倍、2019年には3.59倍と縮小傾向を示しているものの、月単位では同期間に5.63倍(2017)から一時は5.04倍(2018)に減ったものの、再び5.39倍(2019)に拡大している。

 今回の報告書を作成した韓国労働社会研究所のキム・ユソン理事長は、「全般的に最低賃金の引き上げが低賃金労働者の賃上げに肯定的な影響を与えているが、労働時間の短縮により月給が減ったことは注目すべきだ。その要因としては、景気変動や短時間高齢者雇用、プラットフォーム労働の増加などによるものもあろうが、雇用主が費用負担を軽減しようとして労働時間を減らして対応した副作用については、積極的な制度改善が必要とみられる」と強調した。超短時間労働者に時間比例原則に従って労働基準法上の有給週休と年次休暇を保障し、4大保険加入義務も課すべきということだ。

ファン・ボヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/923223.html韓国語原文入力:2020-01-05 18:19
訳D.K

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