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[ニュース分析]「東倉里廃棄」を覆した金委員長…朝米、対話と破局の分かれ目

登録:2019-12-09 04:21 修正:2019-12-09 12:02
北朝鮮の「重大な実験」の意味とは? 
米国が軍事的に敏感に反応する 
衛星打ち上げが可能な場所で実験 
一部では「ICBMの発射予告」との指摘も 
 
エンジン実験なら“レッドライン”超えず 
対話基調壊さず、米国にボールを渡したもよう 
専門家「トランプ大統領の決心次第」
北朝鮮の金正恩国務委員長が今月7日、陽徳温泉文化休養地の竣工式に出席し、テープを切っている/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮が8日、「重大な実験」を実施したと発表した東倉里(トンチャン二)西海発射場には、人工衛星発射台とエンジン実験場がある。米国が北朝鮮の人工衛星の打ち上げを大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験と見なしてきたことから、軍事的にも敏感なところだ。北朝鮮が朝米交渉の期限と定めた年末を控え、再び米国に選択を迫ったものと見られる。

 専門家らは、北朝鮮が今回大陸間弾道ミサイル用の固体燃料の実験を実施した可能性が高いと見ている。人工衛星用の新型液体燃料をテストしたと予想する専門家もいるが、いずれも長距離ミサイル発射と関連がある。人工衛星の打ち上げには大陸間弾道ミサイルと同じ技術が使われる。今回の実験を行ったのがミサイル開発を主導する国防科学院であることも、今回の実験の軍事的性格を示唆している。

北朝鮮の主なミサイル実験場

 エンジン関連の実験なら、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長がドナルド・トランプ米大統領に約束した大陸間弾道ミサイルの発射中止を違反したわけではない。いわゆる「レッドライン」を越えたとは言えない。コ・ユファン東国大学教授は、「北朝鮮は今回が最後のチャンスだと圧力をかけている」とし、「米国は対話基調を崩さず、モメンタム(動力)を維持しようという態度だが、北朝鮮は圧力を最大限引き上げ、年末まで決着をつけるきっかけを見出そうとしている」と分析した。

 北朝鮮は、米国が体制保証と制裁解除と関連し「新たな計算法」を提示せず、現状を維持しようとしていることに不満を抱いていると見られる。北朝鮮のキム・ソン国連大使は7日(現地時間)、「米国が追求する持続的かつ実質的な会話は、時間稼ぎのための姑息な手」だとし、「非核化はすでに交渉テーブルから下げられた」と主張した。コ・ユファン教授は「北朝鮮は、トランプ大統領の大統領選日程からして、米国が新たな計算法を出すことは難しいと考えているようだ」と指摘した。

 北朝鮮の今回の試験が人工衛星や大陸間弾道ミサイルの発射を予告したものという指摘もある。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院諮問研究委員は、「北朝鮮はハノイでの朝米首脳会談後、米国が約束を守らなかったことに責任を問う態度を示している」とし、「次の措置として人工衛星の打ち上げを警告したと言える」と指摘した。北朝鮮は最近、核実験や大陸間弾道ミサイルの発射停止、豊渓里(プンゲリ)核実験場の閉鎖など、自分たちが取った非核化の先制措置に対し、米国が見返りを与えず、トランプ大統領の功績として掲げるなど、裏切られただけだと非難した。

 北朝鮮は昨年6月のシンガポール朝米首脳会談で、新たな朝米関係の構築▽恒久的な朝鮮半島平和体制の構築▽完全な非核化▽米軍遺骨の送還に合意し、東倉里エンジン実験場の一部を解体した。金委員長はさらに同年9月、平壌南北首脳会談で「東倉里のエンジン実験場とミサイル発射台を関係国専門家たちが見守る中、永久に廃棄する」と約束した。今回の実験は、北朝鮮がもうその約束に囚われないことを示している。

 北朝鮮の今回の実験が、朝米が連日刺激的な言葉で攻防を繰り広げている状況で出たという点も、注目に値する。リ・テソン北朝鮮外務省米国担当次官は3日、「来年のクリスマスプレゼントとして何を選ぶかは、全的に米国の決心にかかっている」と威嚇した。これに対し、トランプ大統領が「武力を使用することもあり得る」と言及したことを受け、パク・ジョンチョン北朝鮮軍総参謀長が直ちに「米国が我々を相手になんらかの武力を使用すれば、我々も任意のレベルで迅速な相応の行動を取るだろう」と反発した。

 にもかかわらず、朝米は先に対話基調を崩さないように努め、互いにボールを渡している格好だ。コ・ユファン教授は「次の状況はトランプ大統領の決心にかかっている」とし、「朝米が破局に向かわず、交渉のモメンタムは維持する劇的な妥協の可能性は残っている」と述べた。チョ・ソンニョル委員は、「北朝鮮が今月下旬に予告した労働党中央委員会全員会議で、これまでの路線を公式に撤回すれば、後戻りできない状況が訪れる」とし、「トランプ大統領が親書などを送り、米国の態度の変化を見せながら、状況を悪化させないよう説得すべきだ」と話した。

ユ・ガンムン先任記者、パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/920066.html韓国語原文入力:2019-12-09 02:38
訳H.J

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