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日本の居直りで過ぎ去った1年…“きちんとした解決策”作りが課題

登録:2019-10-31 05:27 修正:2019-10-31 08:00
最高裁判所の強制動員の賠償判決から1年 
韓日、隔たり大きいが、1+1提案をもとに 
変更したアイデア、水面下で検討される 
日本も「経協基金」を流し、反応うかがう 
年末の日本企業の資産売却が重大なヤマ場
日帝強制動員被害者、イ・チュンシクさんが今月30日午後、ソウル瑞草区の「民主社会のための弁護士会」大会議室で開かれた日帝強制動員問題の解決に向けた記者会見で、ある小学生が書いた手紙を聞きながら、涙を拭いている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 95歳という高齢の日本製鉄(旧新日鉄住金)強制動員被害者のイ・チュンシクさんは30日、民主社会のための弁護士会(民弁)と「強制動員問題の解決と対日過去清算に向けた共同行動」がソウル瑞草区民弁大会議室で開いた記者会見に出席していた。

 1年前の10月30日、韓国最高裁(大法院)は日本製鉄に強制動員被害者への賠償を命じる判決を言い渡した。それから1年が経ったが、賠償は実現していない。日本政府の介入で、日本企業は賠償に応じていないからだ。むしろ、日本の報復を兼ねた輸出規制と韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定が続き、韓日関係は歴史、経済、安保が絡み合った軋轢の谷間に陥っている。

 「おじいさん(イ・チュンシクさん)がニュースで、私たちに申し訳ないと言ったが、おじいさんのせいではなく、強制徴用(強制動員)をした日本に非があります。国同士で謝罪をしたのであって、被害者には謝罪をしませんでした。だから泣かないで、ありがとうも言わないでください。体に気を付けて、元気を出してくださいね」。仁川(インチョン)のある小学生からの手紙が読み上げられると、イさんは目頭を押さえた。

 被害者たちが判決による慰謝料を受け取り、複雑に絡み合った韓日関係も改善する糸口は、最高裁の強制動員判決を履行する案に対する韓日双方の接点作りに見いだすしかない。

 韓国は「日本企業に賠償を命じた最高裁の判決の尊重」という原則を守らなければならず、日本は「1965年韓日請求権協定によって全て解決済みであるため、日本企業に被害が及んではならない」という立場を貫いている。今年6月、韓国が「1+1」(韓日企業による自発的な基金作り)案を提案し、日本は直ちに拒否したが、最近、韓日間には「1+1」提案に基づいた様々なアイデアが話し合われているという。

 これまで「日本の謝罪を前提に、韓国側が被害者に慰謝料を支給」▽「韓国が慰謝料を支給した後、日本企業に求償権請求」▽「日本企業が慰謝料を支給した後、韓国が補填」▽最高裁確定判決を受けた原告に対し、韓日企業が慰謝料を支給し、裁判中や訴訟を提起していない被害者に対し、韓国側が代案を作るなどのアイデアが検討されてきたという。しかし、日本企業に賠償を命じた最高裁の判決趣旨とは距離があったり、求償権請求に対する法的論議の素地などが指摘されており、日本が同意しない部分もあるため、韓日間で具体的な提案と論議に進展した段階ではないという。

 28日には韓国政府と企業が経済協力の名目の基金を創設し、日本企業が参加する案の草案を日本政府が用意したという日本マスコミの報道が出た。強制動員問題は請求権協定で解決したという従来の立場を貫く一方、「経済協力」の名目で韓国の最高裁の判決に対する賠償の性格を弱める案を公開し、韓国側の反応をうかがっているものと見られる。

 11月23日にはGSOMIAが正式に終了され、年末頃には強制動員被害者が差し押さえた日本企業資産の現金化(売却)に乗り出す予定であるため、韓日関係は再び危機を迎える。被害者たちは、日本企業が賠償を拒否していることを受け、資産の売却手続きを進めてきた。イ・チュンシクさんが原告団に含まれた日本製鉄事件で、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院は、日本製鉄のPNR株式19万4794株(7億6500万ウォン相当)を差し押えした。7月にはこの差し押さえに基づく売却命令を進めるため、審問書を送達したが、現在までこれといった反応はないという。大邱地裁の関係者は、「審問書は日本外務省にすでに届いているが、日本国内の送達の現状は分からない状況だ。もし3~4カ月が過ぎて審問書が返送されれば、(売却)防御権を放棄したと見なすこともできる」と明らかにした。日本政府は現金化で日本企業資産の損失が発生した場合、以前よりも強力な報復措置をとるという態度を示しており、両国関係がさらに深刻な危機に陥る恐れがある。しかし、韓国が時間に追われ、急場しのぎの対策で妥協するよりは、原則を守って解決すべきだという意見もある。政府当局者は「最高裁の判決を尊重し、被害者の実質救済、韓日関係の未来を考慮した強制動員の解決策を作らなければならないが、韓日間の隔たりは依然として大きく、短期間で解決される問題ではないと考えている」とし、「時間がかかっても、きちんとした解決策を作らなければ、副作用はさらに大きくなるだろう」と述べた。

パク・ミンヒ、チャン・イェジ記者、東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/915229.html韓国語原文入力:2019-10-30 21:38
訳H.J

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