本文に移動

日本の謝罪・賠償受けられないまま…強制動員被害者また死去

登録:2019-10-28 09:22 修正:2019-10-28 09:50
「不二越労役」イ・チュンミョンさん死去
1月、ソウル中央地裁での控訴審判決を聞く前にイ・チュンミョンさんが書いたメモ。学校に送ると騙した日本人教師の名前、飢えに苦しみ賃金ももらえず働いた話を吐露したイさんは紙に「富山県不二越鋼材工業株式会社」とひらがなとカタカナを書いた=イム・ジェソン弁護士提供//ハンギョレ新聞社

 日帝強制占領期(日本植民地時代)の勤労挺身隊の強制動員被害者であるイ・チュンミョンさん(88)が26日に死去した。工業用の材料を作る日本戦犯企業「不二越」を相手取って起こした損害賠償訴訟が進行中だが、イさんは日本側の訴訟遅延戦略で謝罪も賠償も受けられないまま目を閉じた。

 27日、民族問題研究所は、強制動員被害者のイ・チュンミョンさんが26日0時20分、ソウル陽川(ヤンチョン)にある療養病院で老衰で息を引き取ったと明らかにした。イさんは13歳だった1944年4月、「日本の不二越工場へ行けば中学校と専門学校に通うことができる」という国民学校の校長にだまされて勤労挺身隊に入った。説明冊子には日本企業で勉強できると書いてあった。釜山から船に乗って日本の下関を経て富山市へ行ったイさんは、約束とは違って厳しい強制労働を強いられた。イさんは富山工場で毎週6日間、1日10~12時間ずつ鉄を削る仕事をしたが、賃金どころかけがをしても十分な治療を受けなかった。畳一畳あまりの所で寝て、いつも空腹で苦しんだイさんは、1945年7月に韓国に帰ってきた。当時、イさんと一緒に不二越に強制動員された朝鮮人被害者は約1600人であり、このうち約1000人が女性だった。不二越は女性の被害者数が最も多い戦犯企業だ。

日帝強占期の勤労挺身隊被害者のイ・チュンミョンさんが1月23日午後、ソウル中央地裁前で日本企業不二越を相手に起こした損害賠償請求訴訟の控訴審で原告一部勝訴の判決が出た後、感想を述べている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 イさんは2015年、不二越を相手に強制動員被害による損害賠償請求訴訟を起こし、2017年3月に一審で勝訴した。今年1月、控訴審でも勝訴したが、不二越が不服として事件は再び最高裁に上げられた後、止まっている。3月22日、最高裁判所が不二越に上告記録の受付通知を送った後、7カ月が過ぎても何の手続きも行われていないためだ。イさんの代理人であるイム・ジェソン弁護士(法務法人ヘマル)は、「他の事件の例を見ると、日本の外務省が関連書類を送達せずに書類を止めている可能性が高い」と語った。イさんの訴訟は遺族が引き継ぐ予定だ。

 イさんのほか、強制動員被害者が日本の戦犯企業を相手取って起こした損害賠償訴訟が、同様の理由で「一時停止」となっている。これに先立ち、日本の外務省は韓国の裁判所が送った日本製鉄(旧新日鉄住金)の資産差し押さえ決定文を5カ月間停滞させ、7月に大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院に送り返している。日本政府は文書を送達できなかった場合、その理由を明らかにしなければならないという国際条約(ハーグ送達条約)にも違反し、返送の理由も記さなかった。

コ・ハンソル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/914773.html韓国語原文入力:2019-10-28 05:00
訳C.M