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外交官同性夫婦に会った大統領…差別禁止法はいつになるのか

登録:2019-10-23 02:36 修正:2019-10-23 08:08
文大統領、ニュージーランド大使同性配偶者も大統領府に招待 
翌日、差別禁止法制定要求デモ「政府、法制定実行計画見えず」 
大統領「同性婚、国民的合意が先」
文在寅大統領は今月18日午後、在韓外交団を招き大統領府の緑地園で開かれたレセプションでフィリップ・ターナー在韓ニュージーランド大使(左から2番目)カップルと挨拶を交わしている。ターナー大使と配偶者のイケダヒロシ氏は同性婚パートナーだ=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞

 「私の夫のヒロシとともに在韓外交団招請レセプションで文在寅(ムン・ジェイン)大統領と夫人にお会いできて大変光栄でした。文在寅大統領のおかげで韓国で初めてこれが可能となりました」。

 今月19日にフィリップ・ターナー在韓ニュージーランド大使が自分のツイッターにアップした書き込みだ。韓国に滞在中の外交官としては初めて、ターナー大使は同性のパートナーとともに大統領府を訪問し、文在寅大統領と会った。その姿が報道されると、国内の性マイノリティたちによる応援が相次いだ。しかし一部からは、政権与党でさえ「差別禁止法」論議に背を向ける国内政界の現実を自嘲する声もあがっている。

 21日、政府と大統領府関係者の説明を総合すると、ターナー大使の配偶者のイケダヒロシ氏は、外交官の同性の配偶者としては初めてその地位が認められ、18日に公式外交行事である在韓外交団招請レセプションに出席した。これまで外交官の同性配偶者は「大韓民国駐在外国公館員などのための身分証発給と管理に関する規則」に基づき、配偶者の地位を認められていなかった。同性婚を認めている国で認められた法的婚姻関係の配偶者であっても、「大韓民国の法律に反したり、善良な風俗やその他の社会秩序に反する場合」、配偶者の地位が認められないためだ。このため、外交官の同性配偶者は一種の被雇用者の身分で入国しなければならなかったが、ターナー大使カップルの場合は政府が指針を変え、ようやく配偶者として公式に認められたのだ。

 このような政府の前向きな方針をめぐり、性的マイノリティの家族構成権保障を目指すネットワークのリュ・ミンヒ弁護士は、「遅ればせながら歓迎すべきこと」と評価した。リュ弁護士は「オーストラリア、ドイツ、米国など、かつて同性婚が認められていなかった国やインドのように現在も認められていない国でも、派遣国の法律に基づいて(外交官の同性配偶者を)認めた例は多い。外交官の儀典のレベルを超え、同性婚が逆らえない世界的趨勢だという点も反映されただろう」と説明した。

 しかし、ターナー大使が韓国政府の「寛容」についてツイッターで喜びを表した19日、ソウルの真ん中では正反対の風景が繰り広げられた。この日、ソウル中区のファイナンスセンター前では性マイノリティ、障害者、移住女性などを対象にしたヘイトを根絶するために差別禁止法制定を求める「差別禁止法制定連帯」による「2019平等行進」が行われた。人権団体の関係者たちは「文在寅政権が外交的関係から一歩進んだ態度を示した一方、国内では性マイノリティの人権を認めていない」と遺憾の意を表した。「性的マイノリティ差別反対レインボーアクション」のイ・ジョンゴル執行委員長は「文在寅政権はろうそく市民たちの時代の変化を求める声によって誕生したが、性マイノリティたちが直面している嫌悪と差別の問題を解決すべき差別禁止法の制定については具体的な実行計画が皆無」と指摘した。

 性的マイノリティ人権団体は、今回の出来事を機に性的マイノリティのための国内政策にも変化があることを期待した。性マイノリティ差別反対レインボーアクションのキャンディー執行委員は、「同性パートナーがいる外交官はさらに増えるだろう。彼らと自国民を分ける基準は何か。外交から始まった変化であっても、国家政策の厳然たる方向性に基づいて進められたものと信じ、今後の国内政策にも反映されるものと期待する」と述べた。

 一方、文大統領はこの日、「性的マイノリティの人権問題において、社会的に迫害や差別を受けてはならない」としながらも、「同性婚については、国民的合意が優先されるべき」という原則的な立場を繰り返した。

イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/914075.html韓国語原文入力:2019-10-22 08:34
訳D.K

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