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国家人権委員会、国連に意見書「韓国政府、差別禁止法履行の努力が見られない」

登録:2019-06-14 10:34 修正:2019-06-14 13:05
人権委「企業と人権」、「差別禁止法」、「労組する権利」と関連した意見書提出  
「差別禁止法は進まず…国際労働機関の基本協約を批准すべき」
第20回ソウルクィア文化フェスティバル「20回目の跳躍、平等に向けた挑戦!」の参加者らが1日午後、ソウル広場を出発し、性的マイノリティと性的マイノリティの人権を支持する「ソウルクィアパレード」を行っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 国家人権委員会(人権委)が、国連の経済的、社会的及び文化的権利委員会(社会権規約委員会)に韓国政府が提出した報告書に対する意見書を提出し、差別禁止法の制定に対して政府が履行の努力を見せていないと批判した。

 人権委は13日、韓国法務部が国連の社会権規約委に提出した「企業と人権」、「差別禁止法」、「労組する権利」など3つの勧告に対する後続措置状況などを書いた報告書に対する人権委の意見書を、社会権規約委に提出したと明らかにした。

 人権委はまず「企業と人権」と関連して、「昨年12月、泰安(テアン)火力発電所で働く非正規職の下請け労働者の死亡事件をきっかけに『産業安全保健法』が改正され施行予定だが、法改正後にも類似の事故が続けて生じている」とし、「改正された法律の実効的な適用と、いわゆる『危険の外注化』問題に対する政府の根本的な対策作りが必要だ」と強調した。また、「国外で工場を運営する大韓民国の事業者が、現地の労働者に滞納した賃金を支払わず逃走した事件が発生するなど、国外に進出した韓国企業による現地労働者や住民に対する人権侵害問題が生じている」とし、政府の関連実態調査および総合的な対策作りを求めた。

 人権委は続いて「差別禁止法」と関連し、「包括的差別禁止法の制定」を早急に作成することを提案した。人権委は「最近、韓国社会では女性や移住民と難民、性的マイノリティなど社会的マイノリティに対するヘイト表現が激しくなり、彼らに対する差別が助長・強化されている状況」だとし、「2006年7月に人権委が差別禁止法の制定を勧告して以来、現在まで包括的な差別禁止法の制定に向けた政府の具体的・可視的な進捗は確認できず、政府の履行努力も見られず、国連の持続的な勧告にもかかわらず、包括的な差別禁止法の制定を全面的に表していない現状」だと指摘した。これと関連し、人権委は2月「ヘイト差別対応特別推進委員会」を構成し、ヘイトと差別問題に対する公論化、実態調査と研究、予防のためのガイドライン作りなどを推進している。人権委は「日増しに深刻な様相に突き進んでいる大韓民国社会のヘイトと差別の問題を、法的根拠や制度的支援なしに、国家人権期間が単独で解決できる問題ではない」と指摘した。

 さらに「労組する権利」と関連しては、「現行法上、交渉代表労働組合にのみ団体交渉当事者の地位を与えることで、いまだに少数の労働組合の団体交渉権が侵害されているなど、依然として解雇者など一部の労働者と公務員が部分的に団結権行使が制限されている」とし、「労働基本権の行使において排除される労働者がないよう、昨年12月に人権委が勧告した国際労働機関(ILO)の第87号・第98号(結社の自由・団結権の保障)基本協約を速やかに批准しなければならない」という意見を提示した。

 これに先立ち、社会権規約委は2017年10月、韓国企業の国外人権侵害に対する対応▽包括的差別禁止法の制定▽労組する権利の保障などを主な内容とする「第4次大韓民国情報報告書」を通じて最終見解を発表し、韓国政府にこの見解を国家人権行動基本計画に反映することを勧告し、18カ月以内に後続報告書を提出するよう要請している。これに対して政府は4月、社会権規約委の主な勧告の履行状況などを書いた後続報告書を社会権規約委に提出した。国連の社会権規約委は政府が報告した後続措置とは別に、政府の履行状況などをより正確に把握するため、国家人権機関と市民団体から意見を受ける手続きを設けている。

クォン・ジダム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/897734.html韓国語原文入力:2019-06-13 22:32
訳M.C

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