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野党「検事と通話したチョ長官は弾劾対象」…与党「検察と野党が野合」

登録:2019-09-27 06:06 修正:2019-09-27 11:49
自由韓国党と正しい未来党、「捜査介入」 
弾劾訴追案発議の方針示す 
共に民主党、「被疑事実の流布を超えて内通」 

「法務長官は具体的な事件と関連し 
検事総長だけを指揮・監督する」という規程 
検察庁法の違反という声も 
処罰の可能性は低いが、不適切という指摘多く
チョ・グク法務部長官が今月26日午後、国会本会議場で開かれた政治分野対政府質問で、議員の質疑に答えている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 与野党はもちろん、革新と保守、革新勢力内部にも激しい分裂をもたらした「チョ・グク事態」が新たな局面に入る見込みだ。「検察捜査に一切関与せず、報告も受けない」と公言してきたチョ・グク法務部長官が23日、自宅を家宅捜索した検事に電話をかけた事実が明らかになったからだ。チョ長官は「後悔している」と一歩後退したが、、自由韓国党は「解任ではなく、弾劾に値する」と意気込んでいる。共に民主党は、検察だけが知り得る内容がまた野党に伝わったとして、野党と検察が野合していると主張した。法務部と検察の間の緊張も高まっている。

■自由韓国党「弾劾訴追に値する」…共に民主党「検察と野党野合」

 ナ・ギョンウォン自由韓国党院内代表は26日の対政府質問の途中、チョ長官と家宅捜索を指揮した検事の間に通話が行われた事実が確認された直後、30分間にわたり緊急議員総会を開き、「家宅捜索中の検事に電話したのは、明白な職権乱用だ。職務の執行に当たり、憲法または法律に違反したため、弾劾の事由になり得る」とし、「告発と弾劾訴追を進めることで、議員総会で意見が一致した」と述べた。チュ・グァンドク議員は議員総会で、「(検事と)通話してもいいかどうかも分からない人に法務部長官を任せている悲惨な状況だ」だとし、チョ長官の辞任を求めた。

 オ・シンファン正しい未来党院内代表も立場文を発表し、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最後までチョ長官をかばって解任を拒否するなら、国務委員弾劾訴追案の発議は避けられないことを明確に警告する」と述べた。

 共に民主党は対政府質問直後に緊急議員総会を開き、「検察が野党議員と捜査状況をリアルタイムで共有している」と強く反発した。イ・ヘチャン共に民主党代表は「被疑事実の流布程度ではなく、(検察と自由韓国党が)内通していることを立証する資料」だと批判した。イ・イニョン院内代表も、「政治検事と政争野党の常時野合体系が全面的に稼動しているのではないか、疑念を抱かざるを得ない。検察内部に政界と取引する闇の勢力が存在するなら、必ず責任を問う」と述べた。パク・チャンデ院内スポークスマンは、「体調のすぐれない妻を心配する電話まで、自由韓国党が政治攻勢に悪用している。チョ長官との通話に負担を感じたなら、11時間にわたった家宅捜索を行っただろうか」と問い返した。

 国会法制司法委員会(法司委)の共に民主党所属議員たちは、対政府質問の途中、国会政論館で緊急記者会見を開き、「捜査を担当する検事長と検察総長は、捜査チームで誰が特定の野党議員と事あるごとに(捜査内容を)共有しているのかを確認し、相応の措置を取ることを求める」と述べた。

■処罰の可能性は低いが不適切という指摘も多く

 自由韓国党は、チョ長官の電話が「法務部長官は具体的な事件に対し、検察総長だけを指揮・監督する」という検察庁法に違反するものだと主張している。検察を管理・監督する法務部長官が職権を乱用したということだ。しかし、刑事処罰の可能性は低いという指摘が多い。

 朴槿恵(パク・クネ)政府時代の2014年、ウ・ビョンウ当時民情秘書官が、海洋警察の家宅捜索に関してセウォル号捜査チームに電話をかけたが、検察は捜査チームが実際に家宅捜索を行ったとし、職権乱用が成立しないと判断した。今回も11時間にわたる家宅捜索が行われており、実質的な影響はなかったものと見られる。職権乱用には未遂罪もない。

 しかし、チョ長官本人も認めたように、(担当検事と)通話したのは不適切だったという声が高まっている。キム・ハンギュ元ソウル地方弁護士会会長は同日、フェイスブックに「検事の人事権を持つ法務部長官の電話一本は、相手の検事に圧迫として働きかねないということは、経験則上十分に予測できる」とし、「しかも、長官の自宅を家宅捜索中だったので家長として当然心配だったろうが、家族以外の人と通話すべきではなかった」と指摘した。2012年12月、国情院コメント工作捜査の際、キム・ヨンパン当時ソウル警察庁長がクォン・ウンヒ水西警察署捜査課長に圧力とも思える電話をかけた事件について、チョ長官は2013年5月27日、自分のツイッターに「証拠隠滅の可能性が非常に高いキム・ヨンパンは、拘束捜査を行うべき」として、キム元庁長を拘束捜査しなければならないという趣旨の書き込みを残した。

■法務部と検察の衝突も再燃

 パク・サンギ前長官時代、家宅捜索の事前報告をめぐって衝突した法務部と検察も同日、再び衝突した。

 「電話をめぐる議論」の後、法務部は担当記者たちにメールを送り、「配偶者の携帯を渡された家宅捜索関係者に、『(妻の)健康状態が良くないため、驚かせないように家宅捜索を進めてほしい』と夫として言っただけだった」と釈明した。夫として妻を心配しただけで、家宅捜索(捜査)に影響を及ぼす発言はなかったという説明だ。

 しかし、ソウル中央地検も直ちにこれに反論した。「妻が体調が悪く、息子と娘が家にいるため、速やかに家宅捜索を進めてほしいという趣旨だった」という内容だった。さらに、「迅速に家宅捜索を進めてほしいという趣旨の発言を何度も繰り返した。(チョ長官と)通話した検事は『こうした情況で極めて不適切だ』と判断した」とも付け加えた。迅速な進行を強調したもので、これは事実上捜査に影響を及ぼす行為だということだ。

 ある検事長出身の弁護士は、「チョ長官には、家宅捜索の対象になった家の家長と法務部長官のチョ・グクという二つの立場がある」とし、「前者だけなら問題にならないが、法務部長官という立場からすると、絶対にやってはいけない電話をした。公私を混同するような態度を再び示した」と指摘した。

キム・ウォンチョル、チョン・ユギョン、シン・ジミン、イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/911121.html韓国語原文入力:2019-09-26 21:50
訳H.J

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