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[ニュース分析]日本には“沈黙”、韓国には“失望”…道に迷った米国の仲裁

登録:2019-08-23 21:41 修正:2019-08-24 07:19
米、GSOMIA終了に「強い憂慮」 
日本の輸出規制の時は無関心で一貫 
韓米、同盟とはいえ安保戦略に立場の差 
北東アジア平和ための協力は変わりない
キム・ヒョンジョン国家安保室2次長が23日、大統領府春秋館の大ブリーフィングルームで韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了決定と関連したブリーフィングをしている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 米国が韓国の韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)終了決定に「強い憂慮と失望」を示した。同盟間で異見に対する不満をこのように公開的に表わしたことは異例だ。

 米国が水面下で主導し締結したGSOMIAの終了が、米国の東アジア戦略の核心である韓米日安保協力に亀裂を起こすことを憂慮していると見られる。だが、7月1日と8月2日に日本が韓国に対する報復性輸出規制とホワイト(グループA)リスト除外措置を発表した時、米国は日本に「憂慮」を示さず、「韓国と日本が対話で葛藤を解決しなさい」という原則だけを繰り返した態度と対比されるという批判もある。

マイク・ポンペオ米国務長官が22日(現地時間)、カナダ・オタワでクリスティ・フリーランド・カナダ外交長官との会談後の共同記者会見で話している/聯合ニュース

 国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は「韓日安保協力を悪化させた発端は明白に日本にある」として「日本が歴史問題に非対称的な経済報復をした時、米国は何の批判もしなかったが、韓国が日本の措置に対抗する措置を取った時には是非を論ずるのは同盟としての信頼を損傷させかねない」と話した。

 GSOMIAの終了決定は、韓日葛藤解決のための積極的努力は回避して、防衛費分担金の大幅引き上げなど韓国に請求書だけ差し出している米国に対して韓国が「宿題」を出した格好という解釈もある。チョ・ソンニョル研究委員は「私たちが米国の要求どおりにGSOMIAを延長したとしても、防衛費分担金、ホルムズ派兵、今後提起される東アジア中距離ミサイル配備問題などで、米国が韓国の注文を受け入れるという信頼がない状況だった」として「米国は信頼回復のために韓日葛藤の原因となった日本の輸出規制を解く努力から始めなければならない」と強調した。

 GSOMIAの終了に対して、米国は不満を示しているものの、これを直ちに韓米同盟の悪化に連結するのは誤った解釈と専門家たちは指摘する。国家安保戦略研究院のイ・スヒョン先任研究委員は「米国は中国の浮上を牽制することが北東アジア戦略の核心だが、韓国の安保戦略では朝鮮半島の平和と南北関係の進展が中心」とし「同盟である韓米の間にも、安保戦略に対する立場の違いは存在するのは当然で、GSOMIA以外にも朝鮮半島安保や北東アジアの平和と関連して共に歩める部分がはるかに多いので、今回の事案を韓米同盟の悪化と解釈することには無理がある」と話した。GSOMIAは米国が中国を狙って東アジアでミサイル防御(MD)体制を構築・運営するうえで核心的な部分だ。

 米国と日本の戦略的立場も同一にはなりえない。米日は中国の浮上を牽制する次元でインド・太平洋戦略を推進しているが、米国はこの戦略の軍事・安保側面を強調する反面、日本は経済・外交側面をさらに重視しているため、中国牽制目的の軍事作戦に深く参加することには躊躇している。イ・スヒョン研究委員は「米国がGSOMIA問題で韓国に遺憾を表わし、日本の肩を持つ形を取ることによって、インド・太平洋戦略の軍事的側面に対する日本の積極的参加を誘導する意図もあるように見える」と指摘した。

 米国内でも、トランプ行政府が韓日葛藤に無関心でいて状況を悪化させたとし、葛藤解決のためにさらに積極的役割を果さなければならないという主張が広がっている。

 ニューヨークタイムズは22日(現地時間)付の社説で「韓日葛藤は、貿易と同盟に向けたトランプの無責任な態度のために大きく悪化した」と、トランプ行政府の政策を批判した。この社説は「韓日敵対感の根元は、日本の韓国に対する植民支配、特に第2次大戦の時に日本が韓国人を性的奴隷や強制動員労働者として残忍に絞り取ったことに遡る」と指摘した。さらに「韓日葛藤が、両国の経済と安保、東アジアでの米国の利益を損傷させている」として「米国はもっと以前に介入して、争いを止める努力をするべきだったが、トランプ行政府はほとんど関心を見せなかった。トランプは、同盟国と敵対国の双方に関税を上げるために虚偽の「国家安保」主張を利用することを流行させ、他の国々も似た方法で世界貿易システムを揺るがすように仕向けた」と批判した。米国平和研究所のフランク・オム先任研究員は「(GSOMIAの終了は)北朝鮮、ロシア、中国に対し、北東アジアで米国主導の同盟体制が崩れているというメッセージを与えることになるだろう」とし「窮極的には韓国と日本が両国間の紛争解決の重要な役割をすべきだが、米国政府は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍首相が直接会い解決方法を探すことのできる空間を用意することをはじめとして、水面下でもっと影響力を発揮する必要がある」と提案した。マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表は「米国が韓日対話を促進できる方法を捜し出し、3国が重大な戦略的利害と価値を共有しているという点を強調することを希望する」と話した。

パク・ミンヒ記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/906928.html韓国語原文入力:2019-08-23 20:01
訳J.S

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