文在寅(ムン・ジェイン)大統領が日本政府の輸出規制について「不確実性が依然として残っている」とし、「過度に一国に依存した製品に関しては、輸入先を多角化し、自立度を高める契機にすべき」と強調した。前日、日本の経済産業省が韓国をホワイト国(輸出管理優遇措置対象国、8月2日より「グループA」に名称変更)から除外しつつも、従来の半導体・ディスプレイの主要な材料3品目のほかに追加の輸出規制をする“刀”を抜かなかったことに関して、緊張の手綱を緩めない意志を表明したものとみられる。
文大統領は8日、大統領府で第2期国民経済諮問会議全体会議を開き、「日本は自由貿易秩序の恩恵を最も多く受けた国で、自国に必要な時は自由貿易主義を積極的に主張してきたにもかかわらず、今回の措置を取ったのは非常に矛盾した行動」だとし、連日批判を続けた。さらに文大統領は「日本が一方的な貿易報復措置で得られる利益が何なのか、理解できない」とし、「もし利得があるとしても、一時的なことに過ぎない。結局は日本を含む皆が被害者になる勝者なきゲーム」だと指摘した。また「どの国であれ、自国が優位にある部門を武器化すれば、平和な国際自由貿易秩序が損なわれる」としたうえで、「結局、日本は国際社会で信頼を失い、日本企業も需要先を失う被害を被ることになるだろう」と述べた。
同日の会議にはチュ・サンヨン建国大学教授(マクロ経済分科)やチョ・デヨプ高麗大学教授(民生経済分科)、イ・グン・ソウル大学教授(革新経済分科)、ソン・ウィヨン西江大学教授(対外経済分科)らが出席した。会議でイ・ジェミン国民経済諮問会議副議長(延世大学名誉教授)は、「日本政府の輸出規制の裏面に、韓国を垂直分業体制内に縛りつけようとする意図が隠れている」と指摘した。イ副議長は「韓国が第二次世界大戦以降、開発途上国の中で先進国に変身した唯一の国になったことにおいて、1965年の韓日国交正常化が一部では役に立ったのは事実」だとしたうえで、「当時、日本当局者は韓日間に垂直分業体制を作り、(これを)持続するという意図を持っていたが、韓国は多くの分野で日本に追いついた。いま安倍首相の日本はその意図しない結果を元に戻そうとしている」と分析した。
コ・ミンジョン大統領府報道官は会議後、「出席者らはASEAN(東南アジア諸国連合)やインドなど市場の多角化や未来ビジョンの提示、中小企業への支援拡大、人材の養成、慎重な支援の必要性など、経済全般について診断し、韓国経済の発展方向について意見を示した」と述べた。ただし、同日の会議に出席した複数の関係者らは「企業に対する規制緩和をめぐっては意見が分かれた」と伝えた。ある出席者は、ハンギョレとの電話インタビューで、「日本の輸出規制に対応するための研究開発が必要だが、週52時間制が障害になるという意見もあった」とし、「反対に、化学物質から労働者の安全を守り、所得主導の成長を成し遂げてこそ、長期的に経済の競争力を高めることができるという意見も出た」と述べた。
文大統領は「日本が輸出規制を行わないこともあり得るし、その過程で実際の被害は発生しない可能性もある。しかし、にもかかわらず変わらないのは“不確実性”が依然として残っていること」だとし、「過度に一国に依存した製品に関しては、輸入先を多角化し、自立度を高める契機にすべき」という発言で会議を締めくくった。