韓国政府は、日本を韓国の戦略物資管理体制上の輸出管理優待措置国、つまりホワイト国(日本は8月2日より「グループA」に名称変更)から排除し、日本の輸出規制の強化に対抗しようとしたが、最終的に決定を見合わせた。日本をホワイト国から除外し、対決局面に突き進めば、外交努力を展開する空間が狭まり、国内企業にも被害が及びかねないという点などを考慮したものとみられる。
政府は8日午前、李洛淵(イ・ナギョン)首相主宰で政府ソウル庁舎で開かれた関係長官会議および国政懸案点検調整会議で、戦略物資輸出制度の変更案件を論議した後、「具体的な内容と推進日程は後日確定することにした」と発表した。前日まで、会議終了後に韓国の戦略物資輸出入告示の改正方向と日程が発表される予定だったが、“慎重モード”が広がり、計画が見送られた。
ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は2日、関係省庁合同ブリーフィングで、「われわれ(韓国)も日本をホワイト国から除外し、輸出管理を強化する手続きを踏んでいく」と発表した。当日午前、日本の閣議が韓国をホワイト国から排除する輸出貿易管理令の改正を通過させたことに対する“対抗措置”の性格だった。これにより、産業通商資源部はワッセナー・アレンジメントなどの4大多国間戦略物資の統制体制に加盟した日本や米国、英国、ドイツ、オーストラリアなど29カ国を「A(カ)地域」とし、これらの国に戦略物資を輸出する企業は審査を簡素化するようにした告示の改正案を準備してきた。
産業部は、告示改正案の草案に対する法律検討まで済ませたという。ソン・ユンモ産業部長官は「戦略物資輸出入告示第10条を改正し、『C(タ)地域』を新設して、日本をこれに分類する」と説明した。現在、告示第10条は、許可地域を「A(カ)地域」と残りの国をまとめた「B(ナ)地域」の二つに分類している。A地域へ戦略物資を輸出する企業は許可申請書と戦略物資判定書など少数の書類だけ提出すれば、政府から3年の包括許可を受けることができるが、B地域に輸出する際は、契約書や誓約書などを追加提出しなければならず、個別許可を受けなければならない。
日本をホワイト国から排除する措置に関連し、ムードに変化が生まれたのは前日の午後だったという。関係府省間の内容共有と協議の過程で、「もう少し時間をかけて検討及び決定をしよう」という意見が相次いだ。ある政府関係者は「その日の午前の会議でも、日本に対して韓国政府が取り得る諸措置について、幅広く論議された」とし、「今後、関係閣僚会議などを開いて具体的な計画を決める」と述べた。“対抗”カードは見送られたものの、完全に排除されたわけではなく、時期とレベルを検討している、というのが政府の説明だ。実際、環境部は同日、日本の石炭灰に対し、輸入通関の際、放射能検査を強化する計画を明らかにした。
政府の決定留保には、現時点で対抗カードを使うのが「外交的解決」を強調してきた政府の立場をむしろ狭める恐れがあるという懸念が反映されたものと見られる。これまで日本に「措置の撤回」と対話を持続的に求めてきた状況で、日本を性急にホワイト国から除外すれば、これを「報復措置」として捉え、日本が不当な輸出規制を正当化する口実になりかねないからだ。日本に対する輸出規制の強化は、韓国の輸出企業にも負担を与える措置であり、産業界は日本をホワイト国から除外する方針に不安な視線を送ってきた。
ただし、今回の処置は、日本が7日に発表した輸出貿易管理令と包括許可取扱要領に基づき、個別許可だけを受ける品目を追加指定しなかったこととは無関係だという。日本が規制強化した約1カ月ぶりにフォトレジストの輸出1件を許可したことも、このような決定の留保の原因にはならなかったものと見られる。
別の政府関係者は「日本が個別許可品目を追加指定しうるという見通しは、マスコミや産業界を中心に提起された合理的な憂慮に過ぎなかっただけで、日本政府は一度も言及したことがなかった」とし、「日本がスピード調節をしているとは見ていない」と説明した。共に民主党のチェ・ジェソン日本経済侵略対策特別委員長は「韓国政府の水平的措置に関する検討はすでに確定している。今週中にいくつかのチャンネルの外交接触を通じて、最終的に判断されるだろう」と述べた。李洛淵首相も「私たちは日本の経済攻撃が原状回復するよう、外交努力を強化する」と述べた。