韓国を安保友好国の性格をもつ「ホワイト国」から除外するという日本の方針には、経済報復のレベルを超え、東アジア地域の安全保障の枠組みを再調整しようという意図があるものとみられる。2010年に中国が日本を制して世界2位の経済大国に浮上し、昨年から朝鮮半島で南北米を中心に安全保障の地形が急速に変わる状況で、北東アジアの安保をめぐる韓日の戦略目標は徐々に離れてきた。このような構図で、安倍政権は韓国最高裁(大法院)の強制徴用賠償判決をめぐる対立を機に、日本の戦略目標を韓国が受け入れるよう圧力をかける攻勢に出たわけだ。
まず、日本が明確な根拠もなく韓国の対北朝鮮制裁違反疑惑やサリンへの転用の可能性などを無理に取り上げるのは、韓国政府の朝鮮半島平和プロセスに照準を合わせ、朝鮮半島問題における日本の役割と要求の受け入れを求める、計算されたメッセージと見られている。
ソウル大学のナム・ギジョン教授は「韓国がホワイト国から除外されないためには、南北和解と朝鮮半島平和プロセスに日本の要求を反映しろという要求を盛り込んだ主張」だとし、「対北朝鮮制裁の維持を根幹にした日本の朝鮮半島構想に韓国が賛同しなければホワイト国から除外するとし、二者択一を要求している」と指摘した。
東西大学のシン・ジョンファ教授は「韓国は朝鮮半島の冷戦構造の解体を最も重要な目標とし、米国との協力を強化すれば日本もついてくると予想したが、日本の安倍政権は日米同盟の強化で中国への牽制を強める一方、日本の軍事力を強化することで、自律性の確保をめざしているため、韓日間の戦略的目標における隔たりが大きくなってきた」と説明した。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が2015年に中国の「中国人民抗日戦争・ 世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典」に出席し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が朝鮮半島平和プロセスを進めるのをみて、安倍政権は中国、北朝鮮に関して韓国が日本と連携することは難しいとの判断を下した。強制徴用をめぐる軋轢が主な契機になったものの、前例のない経済報復措置を通じて、韓国に安保面での圧迫を強化しようとする脈絡があるという分析だ。
日本は2018年国防政策報告書と防衛大綱で、韓国に関連し「米国の同盟で、基本的価値と安保利益を共有する国」という表現を外し、安保協力の順位も従来の2番目から5番目に下げた。特に昨年、安倍首相の訪中などで日中関係が急速に改善し、自信を得た日本が韓国に対して「韓国なしでも十分行ける」というシグナルを送っている側面もある。
こうした背景の中で、安倍首相は宿願の平和憲法の改正と戦争できる“普通の国”への道程で、韓国が“障害”になるという判断を下したものとみられる。普通の国をつくるためには、日本に対するプライドと愛国心を鼓吹しながら、「美しかった明治時代に戻ろう」というメッセージが重要だが、韓国が引き続き過去の歴史問題を提起してこれを揺さぶる状況に対して、超強硬対応に出たのだ。
日本のこのような行動は、1965年以降構築された韓米日安保協力構図を揺るがすものであり、北東アジア全般に地殻変動を起こす可能性もある。韓国はまず米国の説得に乗り出したが、米国が積極的な役割を果たす可能性は現在のところ低い。
先週、米国を訪問し、ホワイトハウスと国務省の関係者などと協議してきた外交部当局者は15日、記者団に対し、米国は「エンゲージ(関与)して現状況が悪化しないようにするという立場」だと伝えた。また「米国が双方を、とりわけ日本が状況を悪化させないという線で意見がまとまった」としつつも、「米国がどのようにエンゲージするかは分からない」と述べた。
一部で韓日両国政府が北朝鮮の核問題とミサイル関連情報の共有などのために締結した秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の破棄の可能性が取り上げられることについて、同関係者は「米国側で秘密軍事情報保護協定が動揺しないことを望むという言及があった」と述べた。当面、米国は韓日のあつれきがこれ以上高まることがないよう、水面下で動きながら、中国のけん制に向けた米国のアジア太平洋戦略から韓日が離脱しない程度に管理するというメッセージと言える。