「結局、日本経済により大きな被害が及ぶことを警告しておく」
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日、日本政府の輸出規制拡大の動きに対し警告した。発言内容も一週間前の8日、輸出規制措置について初めて言及した時よりも一段と強いものになった。日本政府がきちんとした根拠を提示できず、次々と理由を変えている状況を確実に指摘する一方、日本の不当な処置に中途半端な後退や解決策を選択するわけにはいかないという政府の原則を、対内外に明確にするためと見られる。
■韓国経済への構造的打撃狙った動きに警告
同日に行われた首席・補佐官会議で、文大統領の発言は厳しいものだった。5日前の財界関係者との懇談会で「日本政府がこれ以上は行き止まりに向かって進まないことを望む」として、長期戦に備えることを求めたのとは明らかに異なる口調だった。特に、文大統領は日本の輸出制限措置が一回性ではなく、韓国経済の成長を妨げようとするものという政府の判断を明らかにした。また「日本の輸出制限措置は、相互依存と共生で半世紀の間蓄積してきた韓日経済協力の枠組みを壊すもの」だとし、「今回の措置が韓国経済の中核となる競争力である半導体の材料に対する輸出制限から始まったという点に注目せざるを得ない」と指摘した。さらに「これは、韓国経済が一段階高い成長を図る時期に成長を妨げたも同然だ」とし、「意図がそこにあるなら、決して成功しないだろう」と断言した。また、「結局、日本経済により大きな被害が及ぶことを警告しておく」と強調した。
実際、政府と大統領府内部では、日本が韓国を「ホワイト国」(兵器製造・開発に使用される品目に関する輸出規制を緩和したり、一部を免除する対象国家)から除外する手続きを踏んでいることに関連し、韓国経済に構造的な打撃を加え、追撃を無力化するのを狙ったものとみている。これに関連し、大統領府関係者は「今回の警告は、日本の出方に韓国が怯むわけにはいかないという意味」だとし、「韓国経済が過去のように弱々しくないという自信も(背景に)ある」と説明した。また別の大統領府関係者は「大統領の発言は、今回の構造的かつ長期的な状況に対応すべきという内部結束の目的と共に、日本政府に『状況を悪化させてはならない』という提案の意味もあると考えられる」と述べた。
■「歴史問題の責任は日本政府にある」と宣言
文大統領は同日、「日本が今回、歴史問題と経済問題と結びつけたのは、両国関係の発展と歴史に逆行する非常に賢明でない処置だという点を先に指摘する。日本政府が何の外交的な協議や努力もなく、一方的な措置を電撃的に取った」とし、責任の所在がどこにあるかを改めて確認した。
日本政府の相次ぐ“前言翻し”の問題についても再び触れた。文大統領は「日本は当初、強制徴用に対する韓国最高裁(大法院)の判決を理由に挙げたものの、国際社会の支持を得られなかったことを受け、戦略物資の持ち出しと対北朝鮮制裁違反の疑惑が原因であるかのように(輸出制限措置を取った)理由を変えた」と述べた。これと関連し、大統領府関係者は「文大統領は、日本の態度が到底道理に合わず、納得できないと考えているようだ」と伝えた。日本が「対北朝鮮制裁違反」の主張に対しては一歩下がる姿勢を見せているが、国と国の間でこのように重要な事案について“事実でないなら仕方がない”と言わんばかりに前言を翻すことに対しては、厳重な警告が必要だと判断したという。
ただし、文大統領は「韓国政府は円満な外交的解決案を日本政府に提示したものの、これが唯一の解決策だと主張したことはない」とし、「日本政府が一方的に圧力を撤回し、今からでも外交的解決の場に戻ることを望んでいる」と促した。日本政府が議論そのものを回避している状況であるだけに、韓国政府はいつでも対話に応じる用意があるということを改めて喚起したわけだ。
■朝鮮半島の平和を揺るがすのは容認できない
文大統領の日本に対する警告の背景には、日本政府が根拠もない疑惑を持ち上げることで、苦労して積み上げた朝鮮半島平和プロセスまで損なわれる恐れがあるという憂慮もあるとみられる。文大統領は、日本政府が戦略物資の違法な持ち出しと対北朝鮮制裁違反の疑惑を提起したことに向けて、「4大輸出統制体制を模範的に履行しているだけでなく、国連安保理決議を遵守し、制裁の枠組みの中で南北関係の発展と朝鮮半島の平和のため総力を尽くしている韓国政府に対する重大な挑戦であり、国際社会の共同努力に不信をもたらすもの」だと規定した。対北朝鮮制裁違反を取り上げる日本の狙いが、米国を刺激して韓米間を引き裂き、朝鮮半島の非核化交渉を妨害するものにあると見ているのだ。さらに文大統領は「これ以上は消耗的な論争をする必要はなく、韓国政府が提案した通り、両国が国際機関の検証を受けて疑惑を解消し、その結果に従えばいい」とし、国際外交の舞台で是非を問うことを重ねて要求した。
文大統領は「今回の機会を、災い転じて福となす契機にする」と述べ、国民と政界の結束と協力も要請した。また「企業は日本の材料や部品装備に対する依存から脱し、輸入先の多角化と国産化を進めるだろうし、政府も必要なすべての支援を惜しまず、経済体質の改善に向けた努力にもさらに拍車をかける」と強調した。最後に文大統領は「国会と政界の超党的協力も要請する」とし、輸出規制措置対応予算が反映された補正予算案の速やかな国会議決も求めた。