日本の強制動員戦犯企業の韓国資産売却手続きが、来年に持ち越される見通しだ。強制動員の被害者代理人団が提出した売却命令申請に対し、裁判所が審問手続きを踏むことを決めたことで、裁判所の最終決定が出るまで、少なくとも半年以上かかるものと予想されている。
大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院は先月18日、売却命令申請の債務者である戦犯企業の日本製鉄(旧新日鉄住金)側に「(売却命令の申請に対する)意見があれば60日以内に書面で意見の提出を求める」内容の審問書を送ることにしたと1日、発表した。代理人団側の説明によると、当該審問書は日本語への翻訳が進められており、まだ日本製鉄には発送されていない。
裁判所が審問書を発令することを決めたことで、年内の売却命令決定は難しくなったものと見られる。代理人団は「審問書が日本製鉄まで送達される期間と、日本製鉄が審問書を受け取ってから意見陳述が可能な期間(60日)まで考慮すると、売却命令の申請日から売却命令決定がなされるまで、7~8カ月以上時間がかかるものとみられる」と説明した。
代理人及び支援団は日本製鉄に対する審問手続きが進められないことを前提に、株を現金化するのに3カ月程かかると予想した。民事執行法(第241条第2項)によると、裁判所は売却命令の申請を許可する前に、債務者を審問しなければならない。ただし、債務者が外国にいるか、所在地が明らかでない場合は、審問する必要がない。また、別の戦犯企業の不二越を対象に行った売却命令申請事件では、別途に審問手続きを行わなかった。
昨年10月、韓国最高裁判所(大法院)は日帝強制占領期(日本の植民地時代)の強制動員被害者が日本製鉄に対して起こした損害賠償訴訟で、原告勝訴判決を確定した。しかし、日本製鉄側が賠償に応じなかったため、被害者側は日本製鉄の韓国内資産に関して強制執行の手続きを踏み始めた。代理人団は5月1日、大邱地裁浦項支院に日本製鉄が韓国で所有している株式会社PNRの株式19万4794株(額面価格5000ウォン基準で、9億7千300万ウォン相当)に対する売却命令を申請した。
一方、日本政府は同日、韓国への輸出管理規定を改正し、半導体などの主要な素材などに対する輸出規制を強化する方針を発表した。韓国最高裁判所の確定判決に対する報復措置と見られる。