セウォル号の7時間問題、韓日「慰安婦」密室合意、ヤン・スンテ元最高裁長官の裁判介入疑惑事件の共通点とは?
朴槿恵(パク・クネ)政府時代、関連情報が徹底的に秘密に付され、政権が代わった後に独自調査と検察捜査などを通じて一部の内容が明らかになったという点だ。市民社会では関連機関が作成した文書を公開せよという情報公開請求訴訟を相次いで行い、1審裁判部はすべて「情報公開は適法だ」という判断を下した。
ところが、2審を担当したソウル高裁では全て結論を覆した。なぜだろうか。法曹界では司法壟断事件を経て蓄積された内部の不満、最高裁判官などの任命完了、現政府の支持率下落などが結合し、高等部長たちの「保守本能」が作動しているという分析だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権の中後半の「積弊清算決算時期」に主要な事件が集中するソウル高裁で、入り口を塞いだり方向を変えてしまう判決が相次ぐ可能性があるという見通しも示されている。
2016年末、ファン・ギョアン大統領権限代行(現自由韓国党代表)は、大統領府記録物数万件を最長30年まで非公開にできる大統領指定記録物に指定した。民主社会のための弁護士会は、2014年4月16日セウォル号惨事当日に作成された文書の「リスト」だけでも公開するよう求めて訴訟を起こした。昨年7月、1審裁判部(ソウル行政裁判所行政14部・裁判長キム・チョンジュ)は「大統領記録物は、国政運営の透明性と責任性を高めるため公開が原則であり、例外としてで非公開にするものだ。大統領だからといって何の制限もなしに任意で大統領記録物を選定し保護期間を指定することはできない」とし、文書リストを公表するよう判決を下した。しかし今年2月、ソウル高裁行政9部(裁判長キム・グァンテ)は「公開が厳しく制限された大統領指定記録物に指定された文書であるため、非公開処分に違法性はない」と、1審の判断を覆した。
ソウル高裁行政3部(裁判長ムン・ヨンソン)も4月、同様の論理で2015年の12・28韓日「慰安婦」合意に関する韓日の局長級協議内容を非公開に決定した。朴槿恵前大統領の弾劾審判が進行中だった2017年1月、文書を公開するよう言い渡した1審(ソウル行政裁判所行政6部・裁判長キム・ジョンスク)をひっくり返したのだ。控訴審の裁判部は「われわれが日本と築いた外交的信頼関係が深刻な打撃を受ける可能性がある」、「(情報を公開した場合)今後実務者らが国益のためというより一貫して責任を回避しようとする消極的な態度になりかねない」とし、非公開が適法だと判断した。
同裁判部は、参与連帯が「最高裁特別調査団の司法行政権濫用疑惑に関する調査文書を公開せよ」と裁判所事務総局を相手取り起こした情報公開請求訴訟でも、最近、国民の利益より「事務総局の業務」を優先する判決を出した。「文書を公開すると最高裁の監査業務に支障をきたす。今後担当者が消極的に業務に臨みかねない」などの理由を付け加えた。「特別調査団の調査は最高裁の監査手続きの一環と言えないため、監査業務の遂行に支障をきたすと見ることはできない」という2月の1審裁判部(ソウル行政裁判所行政6部・裁判長イ・ソンヨン)の判断を覆したのだ。
二つの事件の1審の「公開」判決を覆した裁判長であるムン・ヨンソン部長判事は、ソウル北部地裁所長時代だった2015年、ソ・ヨンギョ共に民主党議員の裁判請託に関わった事実が検察の捜査で明らかになったことがある。司法壟断事件を捜査した検察が最高裁に不正事実を通報した66人の裁判官のうちの一人だ。
透明社会のための情報公開センター運営委員のハ・スンス弁護士は27日、「国民の知る権利も国益の一種」とし、ソウル高裁の相次ぐ逆転判決を批判した。これに対し、ある判事は「保守化した高等裁判所の姿を見せるもの」と分析した。一般の民事・刑事事件とは異なり、情報公開訴訟は知る権利と国益などの“価値”が衝突する時、何を優先するかをめぐって争う。このため複雑な法理解釈よりも、裁判官個人の価値観や性向による解釈が介入する余地が広がるということだ。彼は「最高裁長官が任命する高裁部長らは、より政務的に判断するようになる」と話した。現在、ソウル高裁にはヤン・スンテ最高裁長官時代に任命された高等部長たちが数多く布陣している。一部は司法壟断関連の不正通報の対象者だ。
裁判所長の任命を見込む「昇進コース」でもある高等裁判所に相対的に保守性向の裁判官が多いのも、一つの原因とみられる。昨年6月の司法壟断事件の検察捜査と関連して、全国で判事会議が相次いで開かれたが、次官級待遇を受けるソウル高裁部長判事会議だけが「最高裁判所の告発および捜査依頼に反対」意見を表明している。