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「愛国の前で保守・進歩はない」…文大統領、顕忠日に“統合”の追悼演説

登録:2019-06-07 06:07 修正:2019-06-07 09:43
文大統領、理念超越した“愛国”を強調  
「保守・進歩の二分法の時代は過ぎ去った」  
臨時政府の左右合作を例に挙げる場面も
朝鮮戦争中に戦死したソン・ボクファン一等兵の妻、キム・チャヒさん(93)が今月6日午前、ソウル銅雀区国立ソウル顕忠院で開かれた第64回顯忠日記念式後、文在寅大統領と共に位牌奉安館を訪れ、故人の位牌を眺めている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6日、顕忠日の記念演説で、「愛国の前では保守も進歩もない」、「極端に偏ることなく、常識を踏まえて愛国を考えると、統合された社会に発展していけるだろう」と述べた。また「今日の大韓民国には保守と進歩の歴史が絡み合っている。私は保守であれ、進歩であれ、すべての愛国を尊敬する」と述べた。保守がほぼ独占してきた“愛国”を、理念と世代を超えた共同体の普遍価値に再定義し、理念・階層的二極化が深刻化している韓国社会を“愛国”の価値のもとに統合しようと訴えた。

■「愛は階級・理念を超越」

 同日の追悼の辞で文大統領が最も頻繁に言及したのは「愛国」だった。合わせて11回登場した。その次は、9回言及された「保守」と「進歩」だった。理念を超えた「統合の価値」として、愛国の重要性を強調するのに力点を置いたことを示している。

 文大統領は演説で、「愛国」を「国家共同体の運命を自分の運命として捉えること」だと幅広く定義した。愛国の本質が「国家共同体との一体感」や「国家共同体に対する献身」にある点を強調したのだ。この過程で文大統領は、駐ベトナム韓国軍司令官を務めたチェ・ミョンシンと、儒林出身で新興武官学校の設立を主導した石州李相龍(イ・サンリョン)、友堂李会栄(イ・フェヨン)の名前を言及した。軍人と儒林という保守的なルーツを持っているが、「8坪の将軍墓域の代わりに、1坪の墓域」(チェ・ミョンシン)に埋葬され、「すべての財産を投げ売り、独立運動に身を捧げた」(李相龍、李会栄)の三人の「既得権を手放した私心のない献身」を、韓国社会が必要とする愛国の事例として再解釈した。

 文大統領は2017年と2018年の顯忠日の記念追悼式典で、「戦争など危機から国を救う行為」という狭義の愛国(護国)概念を「共同体に対する献身」という広義の概念に拡張した。就任1年目の演説では、ドイツに派遣された鉱夫や看護士、清渓川(チョンゲチョン)の女性労働者の献身を、翌年には海で子どもを救助して亡くなった整備士と交通事故に遭った人を助けようとして死亡した保育士など、「義死傷者」の行為も、愛国の範囲に含めたことが代表的な事例だ。

■「左右統合された光復軍が国軍のルーツ」

 保守陣営に向けたメッセージも目立つ。文大統領は「私は保守であれ、進歩であれ、すべての愛国を尊敬する。もはや社会を保守と進歩の二分法で分けられる時代は過ぎ去った。我々は誰でも保守的であり、進歩的でもある」と述べた。古い陣営論理から離れ、“愛国”という価値を媒介に進歩と保守が手を取り合って、事案によっては競争と協力を並行していこうという意味だ。また「自分を保守だと思おうが、進歩だと思おうが、極端に偏らず常識を踏まえて愛国を考えれば、私たちは統合された社会に発展していける」と強調した。

 この過程で文大統領が例に挙げたのは、1940年代はじめに臨時政府が力を入れて推進した「左右合作」だった。彼は「光復軍には韓国青年戦地工作隊に続き、若山金元鳳(キム・ウォンボン)先生が率いた朝鮮義勇隊が編入され、ついに民族の独立運動の力を集結した。その力で1943年、英国軍とともにインド・ビルマ戦線で日本軍と戦っており、1945年には米国戦略情報局とともに国内進攻作戦を準備していたところ、光復(植民地解放)を迎えた」と述べた。さらに文大統領は「統合された光復軍が連合軍とともに培った軍事的力量は、光復後、大韓民国国軍創設の根幹になり、韓米同盟の土台になった」と強調した。派閥と理念に埋没されることなく、独立のために手を取り合った協力の歴史が、今日の大韓民国を作る礎になったという意味だ。

 大統領府の関係者は「保守と進歩いずれも共同体の利益より自分が属している陣営の利益を優先視している状況で顕忠日を迎え、政派的利益よりも統合に向かって進もうと強調したもの」だと説明した。

■「献身に報いるのが国家の義務」

 文大統領の過去の演説とは異なり、韓米同盟の重要性が大きく言及されたのも注目すべき点だ。文大統領は「この地の自由と平和のため、最も大きな犠牲を払った国は米国だった。米国の参戦勇士3万3千人が戦死し、9万2千人余りが負傷した」と述べた。そして、「政府は2022年までにワシントンの朝鮮戦争記念公園内に『追悼の壁』を建設する。米軍戦没将兵一人一人の尊い犠牲を称え、韓米同盟の崇高さを両国国民の心に刻む」と述べた。「文在寅政権が韓米同盟を破綻させている」と非難する保守側と、韓米同盟の意味を相対的に軽く考える進歩側を共に狙ったメッセージとみられる。

 演説の最後の部分では、政府の報勲政策の成果と今後の推進計画についても言及した。公務員災害補償法の制定や殉職年金の引き上げ、槐山護国院の開院、報勲審査の市民参加制度の法制化、軍人災害補償法の制定推進計画などだ。文大統領は同日、参拝団に代表で焼香をする際、清海部隊の崔瑩艦に搭乗しソマリア派兵任務を終えて復帰する途中、事故で命を落としたチェ・ジョングン下士の両親に焼香を直接勧めた。

 国立ソウル顕忠院で開かれた同日の追悼式典には、文大統領と5府要人、与野党政党代表、国家有功者や遺族らが出席した。

イ・ワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/896965.html韓国語原文入力:2019-06-06 20:57
訳H.J

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