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サムスン電子ベトナム法人副社長、ベトナム国会で「結社の自由は社会の混乱招くだろう」

登録:2019-06-26 23:39 修正:2019-06-27 15:27
グローバル・サムスン持続不可能報告書(4)癒着 
 
ベトナム法人の対外協力業務を総括 
ILO核心協約の妨害論理を伝播 
「草の根組織が乱立する悪夢を懸念」 
 
共産党の労総を擁護し複数労組に反対 
「超過勤務のメリット」強調も
「西欧の秩序に則り結社の自由を保障して複数労組が許されるならば、ベトナム社会に混乱が引き起こされるだろう」//ハンギョレ新聞社
グローバル・サムスン持続不可能報告書//ハンギョレ新聞社

  「『結社の自由』は、もはや労働者のための自由を意味しない、競争の自由、分裂の自由に変質した。(…)『結社の自由』を認めることになれば、ベトナム社会に混乱を引き起こす」

 サムスン電子ベトナム法人で対外協力業務を総括したB副社長が2016年、ベトナムの国会の社会問題委員会でした発言の一部だ。B副社長は、ベトナム共産党主催のフォーラム、ベトナム国会ワークショップなどで数回ベトナム政府の国際労働機関(ILO)の核心協約批准に反対し、「西欧の秩序に則り結社の自由を保障して複数労組が許されるならば、ベトナム社会に混乱が引き起こされるだろう」という趣旨の発言をした。

 ハンギョレは、B副社長がベトナムの国会などで発表した「TPP(環太平洋経済パートナーシップ協定)加入後のベトナム労働基準および労働組合法改正に対する政策的提言」などの公式文書を入手した。サムスンは、ベトナムが米国をはじめとする12カ国とともにTPP協定を結ぶにあたって、その実行条件とも言える国際労働機関の基本条約の追加批准を議論していた2015~2016年の間に、集中的にこれを妨害する論理を伝播した。サムスンが特に問題にしたのは「結社の自由と団結権保護」、そして「団体交渉権」だった。B副社長は発表文で「8大ILO核心協約は、実行の有無とは関係なくすべてベトナムの労働法に事実上含まれている」と主張した。

TPP(環太平洋経済パートナーシップ協定)//ハンギョレ新聞社

 サムスンは、複数労組の許容により共産党主導のベトナム労働総連盟(VGCL)が弱くなれば、「草の根組織が雨後の筍のように生まれ、役に立たない高位級労組が非効率的な競争に没頭し、社会に混乱が起きれば、ベトナムがカンボジアやタイのように転落する悪夢が再現されるのではないかと懸念する」とまで指摘した。複数労組が許される場合、「労働者が労働環境の改善と労働者権益の保護を労働組合に積極的に要求するだろう」とし、それはすなわちサムスンの高強度超過勤務に対する問題提起につながることを懸念したとみられる。A常務の発表文は「超過勤務のメリット」を強調する結論で終えられている。「雇い主は事業および生産を柔軟に運営でき、職員は追加で賃金を稼ぐことができる。(…)ハイテク産業において勤務時間に関する硬直性が高まれば、それは企業移転につながり、結果的に雇用人口が減る結果を産む」

 当時の状況についてベトナムのある国際労働機関関係者は「サムスンがA常務の発表文をベトナムの国会議員をはじめ、労働部の関係者など政策決定権者数百人に郵便で個別発送した」とし、「当時、米国大使館はサムスンの行動にあきれていた」と話した。

キム・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/899446.html韓国語原文入力:2019-06-26 21:37
訳J.S

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