政府が、国際機関を通じた北朝鮮の乳幼児・妊婦ら脆弱階層の栄養支援・保健事業に向けて、繰り返しその意思を示してきた南北協力基金800万ドルの無償支援が、近日中に行われる。統一部は、南北交流協力推進協議会(交推協)が5月29日から6月5日にかけて「国連世界食糧計画(WFP)・国連児童基金(ユニセフ)の北朝鮮の栄養支援・母子保健事業に対する南北協力基金の支援(案)」を審議・議決し、支援に必要な国内手続きを終えたと発表した。統一部は「800万ドルを数日以内に世界食糧計画やユニセフに現金で支援する計画」だとし、「両国際機関が独自の購買システムで物資を調達し、北朝鮮に支援する」と明らかにした。文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、政府レベルでは初の対北朝鮮人道支援だ。膠着局面に陥っている南北関係を解決する糸口になるかどうかに、注目が集まっている。
今回議決された支援計画は、文在寅政権初期の2017年9月21日に交推協が議決したが、2017年には情勢悪化のため、2018年には米国政府の事実上反対のため執行されず、法的効力が消滅した支援策と事実上同じ内容だ。800万ドルの南北協力基金は、国連食糧計画に450万ドル、ユニセフに350万ドルがそれぞれ支援される。国連世界食糧計画はこの資金で北朝鮮9カ道、60カ郡の保育所や孤児院、小児病棟などの乳幼児、妊婦・授乳婦など脆弱階層を対象に、栄養強化食品の供給に必要な食品材料などを調達する。ユニセフは北朝鮮の児童・妊婦・授乳婦などのための治療食や基礎必須医薬品キット、微量栄養素複合剤などを供給する事業にこの資金を使う計画だ。
政府は5月17日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、「対北朝鮮食糧支援問題は国民の意見を十分に聴取し、国際機関(国連世界食糧計画)または対北朝鮮直接支援など具体的な支援計画を検討していく」方針を明らかにしており、食糧支援も近く行われる可能性が高い。
一方、ソウル市のパク・ウォンスン市長は1日、「ユ・シミンのアリレオ」に出演し、中央政府とは別に、ソウル市レベルで国連世界食糧計画の「北朝鮮の乳幼児の栄養改善事業」に100万ドルを支援すると発表した。