本文に移動

[ニュース分析]対北朝鮮支援と非核化を結びつけた米国、今回は立場を変えるか

登録:2019-05-09 05:49 修正:2019-05-09 07:47
トランプ大統領の「支持発言」直後にビーガン代表訪韓 
今週の韓米作業部会の会議が分水嶺 
国連世界食糧計画事務局長も13日に訪韓 
2017年800万ドルの支援決議後 
米国の反対で執行できず白紙化 
米政府の態度が変わるかに注目集まる
米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表とアリソン・フッカー国家安全保障会議(NSC)朝鮮半島担当補佐官が8日午後、金浦国際空港を通じて入国している//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談で、「韓国の対北朝鮮食糧提供を支持する」と述べた直後の8日、統一部が「北朝鮮住民のための食糧支援を推進する」という立場を公式表明した。韓国政府が国連世界食糧計画(WFP)などを通じて北朝鮮に800万ドルを支援するという20カ月前の“発表”が、実行に移されるかどうかに関心が集まっている。

 同日、統一部当局者は「これまでは(対北朝鮮食糧支援を)具体的に検討しなかったが、7日の文大統領とトランプ大統領との電話会談後、食料支援に対する方針が決まった」とし、「関係省庁と支援の時期や方式、規模などに関する協議を始める計画」だと説明した。

 まず、ハノイで開かれた第2回朝米首脳会談が物別れに終わった後、初めて8日に訪韓したスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表とイ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長による今週の韓米作業部会の結果が、重要な分水嶺になると見られる。13~15日に訪韓する世界食糧計画のデイビッド・ビーズリー事務局長とカン・ギョンファ外交部長官、キム・ヨンチョル統一部長官などの面会でも、北朝鮮への人道支援が話し合われる予定だ。

 対北朝鮮人道支援は、現状を管理し、対話の糸口を見出すため、政府が使える数少ないカードの一つだ。しかし、支援が現実化するには、乗り越えなければならない難関が少なくない。政府は2017年9月21日、対北朝鮮人道支援基金を議決したにもかかわらず、昨年末まで1年以上執行できず、白紙化された事例がある。当時、政府は南北交流協力推進協議会(交推協)で、北朝鮮に800万ドルを国連児童基金(ユニセフ)と世界食糧計画を通じて支援をすることを審議・議決した。統一部は「現金ではなく現物支援」で「児童・妊婦用の医薬品や栄養食などの品目」であるため、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁に反しないという立場を示したが、結局履行できなかった。

 800万ドルの執行が見送られた背景に、米国政府の反対と韓国政府の消極的姿勢があるというのは公然たる事実だ。まず、トランプ政権は人道主義と政治・軍事的問題は結びつけない米国の長年の政策的慣例を破り、人道支援を北朝鮮との非核化交渉のテコに使った。

 米国は韓米作業部会で、800万ドルの対北朝鮮人道支援について、「今は適期ではない」という立場を示してきたという。国会議員室のある関係者は8日、ハンギョレに「外交部に対北朝鮮人道支援が行われない理由を聞いたが、当局者が『米国が人道支援さえも北朝鮮の非核化のためのカードとして使っている』と説明した」とし、「米国の反対で人道支援が行われないのは周知の事実」だと話した。また、昨年12月の韓米作業部会で、北朝鮮に対する人道支援に共感し、政府がタミフル20万人分などを北朝鮮に送ることにしたにもかかわらず、米国がタミフルを積んだトラックを対北朝鮮制裁違反品目として問題視したため、支援が白紙化されたこともあった。

 非核化交渉と連携させることで、北朝鮮に対する人道支援を事実上留保してきた米政府の立場が、今回のトランプ大統領の発言を機に変わったのかは、今週の韓米作業部会などを通じて確認される見通しだ。これまでトランプ大統領は、対北朝鮮人道主義支援を支持すると明らかにしてきたが、米政府の実務陣は強く反対してきた。トランプ大統領は先月、米ワシントンで行われた文大統領との首脳会談で、「我々は特定の(対北朝鮮)人道問題について、今論議している。正直に言って、私はそれがいいと思っている」と述べたが、その後も北朝鮮に対する人道支援に否定的な米政府の態度は変わらなかった。

 専門家らは、妊婦や児童、患者への支援さえ妨げてきた米政府がこれからは態度を変えるべきだと指摘する。ホン・ミン統一研究院北朝鮮研究室長は「北朝鮮の核・ミサイルの高度化を防止するのが制裁の基本目的だ。制裁が脆弱階層や乳幼児に被害を与えてはならない」とし、「米国はこれまで徹底的に対北朝鮮人道支援を非核化交渉の手段として利用してきたが、これは北朝鮮との交渉にもあまり役立たない」と話した。ク・ガブ北韓大学院大学教授も「北朝鮮の人権を実質的に改善するための措置を取らねばならないのは、非核化交渉の局面と関係なく、(韓米当局が)堅持すべき原則」だと話した。

ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/893165.html韓国語原文入力:2019-05-08 21:50
訳H.J

関連記事