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ILO雇用政策局長「正当なストも韓国では違法」

登録:2019-03-08 06:36 修正:2019-03-08 10:31
ILOの中核的協約を批准する重要性を強調 
文大統領に「設立100周年演説」を要請
イ・サンホン国際労働機関(ILO)雇用政策局長=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「韓国は特に違法ストライキが多い国だ。欧州の基準からすると、手続きや内容が正当なストでも、韓国では法制度上、違法と判断される可能性が高い」

 7日午前、イ・サンホン国際労働機関(ILO)雇用政策局長がソウル中区(チュング)で開かれた記者懇談会で、ILOの核心協約を批准する重要性を強調した。労働者のスト権を十分に保障しない現行の労働関係法のため、ストが違法と見なされ、衝突を招きやすい構造的問題を指摘したのだ。

 現在、経済社会労働委員会では、結社の自由や強制労働禁止などを内容とする核心協約の批准に向けた立法課題が論議されている。しかし、労使間の激しい見解の相違により、膠着状態に陥っている。経営界は労働基本権を強化する核心協約を批准する代わり、職場内での争議行為の禁止▽ストの際、代替労働の許容▽団体協約の有効期間の延長▽労働組合による不当労働行為の新設などを要求している。今年1月、韓国労働組合総連盟(韓国労総)は「労働基本権を深刻に侵害し、労使関係制度と慣行を後退させる要求」だとして、議論を拒否している。

 イ局長は、国内での議論に懸念を示した。彼は「経営界が主張するストの際の代替労働の投入などは、(ILO)中核的協約の批准とは関係ない問題だ。批准の過程で様々な法制度を論議することはできるが、過度に結びつけると、中核的協約の批准がさらに複雑にる恐れがある」と助言した。さらに、中核的協約の批准が企業の競争力に否定的な影響を及ぼしかねないという経営界の懸念も一蹴した。彼は「ILOは中核的協約の批准が経済に及ぼす影響を15年以上実証研究してきたが、『貿易や雇用に及ぼす否定的な影響はない』というのが一貫した結果だ。一部の研究ではむしろ肯定的影響を及ぼすものと分析された」と説明した。

 韓国がILOの中核的協約を批准するかどうかは、国際的な関心事になっている。欧州連合(EU)は、韓国が韓-EU自由貿易協定(FTA)を締結する際に約束した中核的協約の批准を履行していないとして、紛争解決の手続きを進めている。今月4日、セシリア・マルムストローム欧州委員(貿易担当)は、イ・ジェガプ雇用労働部長官あてに送った書簡で、「来月9日までに韓国政府が中核的協約の批准に向けた実質的な措置を取らなければ、紛争解決の手続きの次の段階に進む」として、圧力を強めている。

 ILOは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に、今年6月に開かれる設立100周年記念総会で基調演説を要請する招待状を送った。イ局長は「文大統領の招待には、韓国が中核的条約の批准を通じて国際社会の労働問題解決に寄与することを望む期待が込められている」と説明した。

イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/885029.html韓国語原文入力:2019-03-07 20:03
訳H.J

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