2017年に慶尚北道浦項(ポハン)で発生した地震の原因が、浦項の地熱発電のボーリングと水の注入のためという政府調査の結果を受け、前例のない“人災地震”の被害に対する国家賠償の規模と範囲などを巡り、法曹界内外の関心が集まっている。被害住民がかなり多く、いったん賠償決定が出れば、文字通り“天文学的金額”になるものと見られている。政府の調査に対する裁判所の鑑定結果や公務員の過失責任の認定範囲などが(賠償額に)影響を及ぼす可能性もある。
浦項地震汎市民対策本部など浦項市民1156人は、政府の調査結果が出る前の今年1月、国や地熱発電会社ネクスジオ、設備と資金を投資したポスコなどを相手に、損害賠償を請求した。これに先立ち、昨年10月にも住民71人が同様の訴訟を起こした。地震発生の原因を明らかにした政府の調査結果が発表されたことを受け、訴訟に参加する住民はさらに増える見込みだ。
被害住民は地熱発電所の敷地選定過程から政府の過失があったと主張している。彼らは裁判所に提出した訴状で「李明博(イ・ミョンバク)政権当時に施行した新再生エネルギーの国策事業の一環として、活性断層による地震被害の可能性がある浦項市北区興海邑(フンへウプ)に地熱発電所を建設することを国レベルで企画した」とし、国の責任を強調した。
ある判事は21日、「通常、損害賠償には因果関係や故意性、違法性などが考慮される。裁判では政府が活性断層の存在を事前に知っていたか、地震発生の可能性を予測していたかなどをめぐり、過失の有無を判断することになるだろう」と話した。政府が事前に活性断層の存在を知っていたか、知りながらもこれを黙殺したか、もし存在を知っていたなら、その危険性を低く評価して事業を推進した客観的な根拠があるかなどが争われるという分析だ。
今回の政府の調査結果だけで、政府の賠償責任が直ちに立証されたわけではない。別の判事は「調査結果の信憑性も法廷で再び争わなければならない。今回の調査結果について、今後政府の対応も見守らなければならない」と話した。また、別の判事は「今回の発表は、訴訟を起こした被害住民の立場ではまず機先を制するレベルでは有利だ」とし、「公務員が地震発生の可能性を予想しながらも事業を進めた場合は、過失責任が大きく認められる可能性もある」と指摘した。
前例のない“人災地震”被害を争う訴訟であるため、代理人団も“論理の開発”に力を入れている。代理人団は「地震=振動=公害事件」という論理を展開している。強力な水圧で水を注入して排出する過程で発生した衝撃(振動)が、断層に影響を与え、地震を誘発したとすれば、これは公害事件(環境侵害)に当たるという主張だ。彼らは2014年12月に制定された環境汚染被害救済法が「振動」による被害も「環境汚染被害」と規定した点を強調している。
訴訟代理人団はポスコに対しても“幇助”の責任があると主張している。訴訟を担当したイ・ギョンウ弁護士(法務法人ソウルセントラル)は「ポスコは浦項地熱発電所コンソーシアムの一員だった。地熱発電所の施設物やポンプ賃貸費など数十億ウォンの資金を投資したため、賠償の責任がある」と主張した。