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比例代表の廃止を求める自由韓国党の「退行」

登録:2019-03-11 08:42 修正:2019-03-12 10:35
ナ・ギョンウォン院内代表、議員数30議席の削減案を発表  
選挙区議席だけで埋めようという改編案  
5党による「選挙制改革→改憲」の合意を覆す  
「内閣制にならないなら連動型比例は賛成できない」  
選挙制改革の議論に逆走の予告  
共に民主・正しい未来・正義党、「改革妨害案だ」 
自由韓国党、「選挙制合意」をついに蹴り 
“不可避性”を後押しされる「ファストトラック」
自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表が今月10日、国会で開かれた政治改革特別委員会会議で発言している/聯合ニュース

 自由韓国党が10日、現行の300議席の国会議員定数を270議席に減らし、比例代表をなくす内容の選挙制度改編案を出した。また、議院内閣制への改憲が先行されない連動型比例代表制(政党の得票率によって議席数を配分する方式)の導入に反対する考えを明らかにした。昨年12月の与野党5党院内代表の選挙制改編合意を破棄しただけでなく、政界がやっと進展させた選挙制改革論議の逆走を予告した。

 自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表は10日、国会で記者懇談会を開き、「自分の手で選ぶことが“できない”比例代表の国会議員を廃止することを世界中の先進国が施行している」とし、「自分の手で選ぶことが“できる”国会議員数を調整し、10%減らした270席を提案するのが我々の(選挙制度改編)案」だと明らかにした。現行の比例代表議席(47議席)を廃止する方式で全体の議席数を減らし、国会議員はすべて選挙区の議席に充てなければならないという主張だ。特に「大統領の権限の分散するための内閣制への改憲でなければ、連動型比例代表制に賛成できないという立場」だとし、選挙制改革議論に先立ち「大統領制→議員内閣制」への改憲が先行すべきだと主張した。また「大統領制での連動型比例代表制は、上は韓服、下は洋服を着るようなものだ」とも述べた。

 自由韓国党が比例代表議席をすべてなくし、これを選挙区議席で埋めるという発想は、これまで続けてきた選挙制改革論議を退行させることだという批判が出ている。一つの選挙区で最多得票者1人が当選する現行の小選挙区制は“死票”を量産し、巨大政党が過剰に代表されるといった慢性的な問題が指摘されてきた。また、少数政党の国会入りが難しく、多様な声を反映することにも限界があった。このような理由で比例代表議員数を拡大しながら、政党得票率によって議席を配分する「連動型比例代表制」を導入しようという主張が説得力を得ている。自由韓国党の比例代表廃止の主張は、政界内外で共感を形成したこのような選挙制改革議論を原点に戻し、ひいては現行の選挙制を“改悪”しようとする試みだ。

 「議院内閣制への改憲」を選挙制改革の先行条件に上げたのは、昨年12月15日にナ院内代表を含む与野党5党の院内代表が署名した合意内容にも反する。当時の合意文の内容は「選挙制度改革に関する法案改正と同時に、直ちに権力構造改編のためのワンポイント改憲論議を始める」だった。しかし、ナ院内代表はこの日「連動型比例代表制など議院内閣制の要素を導入しておきながら議院内閣制への改憲を行わないならば、激しい政治的混乱を招きかねない」と述べ、選挙制改革より改憲が先に行われるべきだと主張した。

 しかし、権力の重心を大統領から議会に移す内閣制は、国会に対する不信と同じくらい国民の拒否感が大きいのが現実だ。また、大統領の権限を国会に分けるには、選挙制改革を通じて“民心”によって議席数が配分される比例性の強化が先行しなければならないという共感が形成されてきた。自由韓国党がこれを覆して「内閣制改憲」を前提条件に掲げたのは、結局は選挙制改革論議を阻止しようとする“ごまかし”にすぎないという分析が出ているのも、そのためだ。その上、自由韓国党が「議員定数の10%削減、比例代表制の廃止、改憲」を提示したこの日は、与野党4党が選挙制改革案を迅速処理案件(ファストトラック)に指定する前に、自由韓国党に改編案を出すよう要求した最終期限だった。“形式的に”選挙制改編の代案を示したと主張できるようになった自由韓国党は、これから与野党4党の選挙制改革ファストトラックに強く反発する態勢だ。

 共に民主党、正しい未来党、正義党は自由韓国党を強く批判し、ファストトラックの“不可避性”を強調した。共に民主党のカン・ビョンウォン院内代弁人はこの日、記者団に対し「自由韓国党が選挙制改編案だと言って妨害策を打ち出してきた」と述べ、また、正しい未来党のキム・スミン院内代弁人は「正しい未来党は自由韓国党の選挙制提案がもはや無意味だと判断し、ファストトラックのための協議を進めていく」と述べた。正義党のチョン・ホジン代弁人は「政治改革をせよという国民の命令に目もくれず、政治不信をあおる反政治党論は、自由韓国党のレベルを表したもの」とし、「選挙制度改革のための合法的な手段であるファストトラックを遅らせる理由がない」と述べた。

 自由韓国党内でも、与野党の合意を覆した院内指導部に対する批判の声があがっている。ある議員は「このように覆すなら昨年12月にナ院内代表が合意案に署名すべきではなかった」と皮肉った。

キム・テギュ、チョン・ユギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/885337.html韓国語原文入力:2019-03-10 22:19
訳M.C

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