「ドナルド・トランプ米大統領にできるだけ早く会いたい」。1年前の昨年3月初め、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長は、韓国の対北朝鮮特使団との面会でこのように述べた。米国と非核化や関係正常化問題について対話する意向も示した。
「恒久的な非核化を達成するため、5月までに金委員長に会いたい」。数日後、トランプ大統領は特使団の口を借りてこう答えた。
6月12日、歴史的な朝米首脳の初会談がシンガポールで行われた。両首脳の強い対話への意志が、70年間凍りついていた朝米関係を溶かし始めた。
それから約8カ月後の今月27~28日、ベトナムのハノイで2回目の朝米首脳会談が開かれる。第2回朝米首脳会談の実現に至るまでは、両首脳の決断と意志が核心的な役割を果たした。トランプ大統領は、ツイッターや記者会見、遊説などで金委員長への変わらぬ信頼を示した。金委員長は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と対北朝鮮特使団を通じて間接的に、または親書や新年の辞などで直接的に、非核化と対米対話への意志を語り続けた。
第1回朝米首脳会談が行われて約20日後の昨年7月、マイク・ポンペオ国務長官が平壌(ピョンヤン)を訪れた。当時、ポンペオ長官は、トランプ大統領が金委員長に送った親書を金英哲(キム・ヨンチョル)北朝鮮労働党副委員長を通じて届けると共に、金委員長がトランプ大統領に送る親書も預かってきた。トランプ大統領が7月12日、ツイッターに公開した親書で、金委員長は「朝米間の新しい未来を開拓しようという私と大統領閣下の確固たる意志と真摯な努力」が「素晴らしい結果をもたらすと、固く信じている」と述べた。このような親書の内容について、トランプ大統領は「北朝鮮の金委員長が送ってきた素晴らしい手紙」だとし、「偉大なる進展が作られている」と述べた。両首脳は公式・非公式な席上で発言のやり取りを通じて、互いに対する信頼を確かめた。
トランプ大統領は米国内で「北朝鮮の非核化に進展が見られない」という懐疑が高まるたびに、「核・ミサイルの実験発射が止まった」、「制裁は続いている」というメッセージを送り続け、朝米対話に対する否定的な世論の払拭に努めた。誰がなんと言おうと、北朝鮮の最高指導者の非核化への意志に対して強い信頼を示した。
「北朝鮮が『トランプ大統領の任期内に非核化を実現する』と言った。私は彼(金正恩委員長)を尊敬し、彼も私を尊敬している。何かが起きると信じている。(非核化のために)時間を十分持っても良い」(2018年9月6日、トランプ大統領の共和党遊説)
金正恩委員長も、非核化に向けた意志とトランプ大統領に対する信頼を示そうと努力を重ねた。金委員長は、昨年4月に訪朝し「非核化を実行する意思があるのか」と質問したマイク・ポンペオ米国務長官に、「私は父親であり夫だ。私には子どもがいる。私の子どもたちが生涯核を抱えて生きていくことを望まない」と答えた。昨年9月、韓国の対北朝鮮特使に非核化への意志を強調し、「非核化に必要な措置を先制的に実践してきた。善意は善意で受け止めてほしい」「トランプ大統領に対する信頼は変わらない」と述べた。9月19日の平壌南北首脳会談では、カメラの前に立ち、「朝鮮半島を核兵器も核の脅威もない平和の地にするため、積極的に努力」する意志を改めて示した。
それを受け、トランプ大統領は「金委員長と2回目の首脳会談を近く行う」とし、「金委員長が合意を成し遂げようとするものすごい情熱を持っている。北朝鮮が経済的潜在力を実践できるよう支援する」と述べた。(9月24日、国連総会を契機にした韓米首脳会談)
昨年11月に予定されていた朝米高官級会談が取りやめになったことで、朝米対話は膠着状態に陥った。それでも、今年1月1日の新年の辞で、金委員長は「新たな朝米関係の樹立」や「平和体制の構築」、「完全な非核化」について変わらぬ「確かな意志」を持っていることを改めて明らかにした。また「いつでもまた米大統領と向かい合う準備ができている。国際社会が歓迎する結果を作るために努力する」とし、トランプ大統領との2回目の首脳会談を望んでいるというシグナルを発信した。数日後、金委員長の“腹心”である金英哲副委員長がワシントンを訪問し、トランプ大統領と面会した。トランプ大統領は翌日、「我々(朝米)は2月末に会うことで合意した」とし、第2回首脳会談の開催を公式化した。
トランプ大統領は25日朝、首脳会談のためにハノイに出国する際、金委員長に向けたツイッターの書き込みを掲載した。「完全な非核化で北朝鮮は急速に経済強国になるだろう…金委員長が賢明な決断を下すと思う」。