検察が18日、ヤン・スンテ前最高裁長官(71)の逮捕状を請求したことで、史上初めて前職司法府首長に対する逮捕状が発行されるかどうかに注目が集まっている。日程が週末と重なり、逮捕の可否は来週初めの令状実質審査を通じて判断されることになった。
発行と棄却の選択を迫られている裁判所としては、類のない困難な立場に立たされた。令状を発行して前職トップの逮捕を許可すれば、裁判介入や裁判官弾圧など過去の“汚点”を事実上認めることになる。一方、令状を棄却すれば、逮捕に大きく意味づけする“国民感情”により、世論の非難を覚悟しなければならない状況だ。
前例のないことなので、法曹界も慎重な見通しを示している。逮捕を予想する側は、検察が握っているカードに注目する。パク・ビョンデ、コ・ヨンハン元裁判所事務総局(最高裁判事)やイム・ジョンホン元裁判所事務総局次長(拘束起訴)を経ず、直接違法行為に関与した“直接証拠”を提示すれば、令状が発行されるものと予想されている。これに先立ち、検察関係者は「ヤン前最高裁長官が2人の元最高裁判事やイム元次長を経ず、(裁判や行政に)直接介入したか報告を受けた証拠がある」と述べた。これをもとに、検察が逮捕の必要性を積極的に主張すれば、裁判所もパク・ビョンデ、コ・ヨンハン元最高裁判事の逮捕状を棄却した時とは違う判断を下す可能性がある。
検察は同日、先月初めに逮捕状請求が棄却された2人の元最高裁判事のうち、パク元最高裁判事の逮捕状だけを再請求した。「ヤン・スンテ-パク・ビョンデ-イム・ジョンホン」につながる容疑に集中するためとみられる。容疑が比較的に少ないコ元最高裁判事の令状を再請求しないことで、裁判所と無理な神経戦を繰り広げることを避けようとする意図もうかがえる。
一方、事件の経験の多い法曹人たちは、発行より棄却の方に重きを置いている。検察幹部出身の弁護士は「先に逮捕状が請求された二人の元最高裁判事の令状を棄却する際、裁判所が『ここからはだめだ』と線を引いたといえる」とし、「棄却事由のうち目を引いたのが『共謀関係が認められない』としたことだった。ヤン前最高裁長官に対しても判断は変わらないだろう」と予想した。高裁部長を務めた弁護士も「裁判所の拘束マジノ線は(令状を発行した)イム・ジョンホン元次長までと見るべきだ。最高裁判事からは検察の令状請求自体を許し難いというのが、裁判所の雰囲気だ」と話した。
棄却を予想する人たちは、ヤン前最高裁長官の容疑に収賄のような「私益の追求」が含まれていない点にも注目する。実際、収賄など私益追求型の容疑がある朴槿恵(パク・クネ)、李明博(イ・ミョンバク)元大統領は特に問題なく逮捕状が発行された。
ヤン前最高裁長官の逮捕の可否に対する結論にかかわらず、昨年6月18日に本格的に始まった検察の司法壟断捜査は最終局面に入る。その後は、さらに長い間激しい攻防が繰り広げられる裁判に移る。