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「ヤン・スンテが指示」物証握った検察、前最高裁長官の盾を突き抜けるか

登録:2019-01-13 22:29 修正:2019-01-14 08:11
ヤン前長官、調査の翌日も出席して調書閲覧 
調査を受けた時間よりも検討が長い 
逮捕状に供えて「法的弱点」を徹底的に調べたもよう 
 
検察、裁判取引・判事査察を問い詰め 
明白な証拠にもかかわらず引き続き容疑を否定した場合 
証拠隠滅の令状発行の可能性高まる
ヤン・スンテ前最高裁長官が11日夜、ソウル市瑞草区のソウル中央地検での調査が終わり出てきている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 11日、前最高裁(大法院)長官としては初めて検察の召喚調査を受けたヤン・スンテ前最高裁長官(71)が、自身の名前と住民登録番号を尋ねる後輩裁判官の前に「被告人」として立つのは予定された手順だ。法曹界内外の関心は、ヤン前最高裁長官が、裁判に付される前の拘束前被疑者審問(令状実質審査)を受けるか否かに集まっている。

 1次召喚調査で、直接・間接的な証拠が多数あらわれた主要疑惑に対して「知らない」「覚えていない」と、知らぬふり戦略で一貫したため、検察の逮捕状請求は避けられないという展望が優勢だ。一方、退任してわずか1年4カ月にしかならない「直前の最高裁長官」に対して、果たして裁判所が逮捕状を発行するかについては意見が分かれている。これに先立って裁判所は「元最高裁判事」という壁を越えられなかった経緯がある。令状発給に自信を持った検察とは違い、先月初め裁判所は共謀関係自体に疑問を提起し、パク・ビョンデ、コ・ヨンハン元最高裁判事の逮捕状を棄却した。

 ヤン前最高裁長官は11日午前9時30分から午後8時40分まで検察の調査を受けた。その後3時間以上にわたり検察が作成した調書を隅々まで検討し、午後11時55分に検察庁を出た。入ってくる時と同様に出て行く時もフォトラインは“パス”した。さらに翌日の12日“予想”を裏切ってすぐに検察庁に再び出頭し、前日終えられなかった被疑者審問調書の検討を終えたという。

 2次調査からは非公開召喚すると明らかにしたソウル中央地検の司法壟断捜査チーム(チーム長 ハン・ドンフン3次長)は13日「ヤン前最高裁長官が12日午後に再び出頭して、金曜日(11日)に調査した部分の調書閲覧を終えた。他の調査はしなかった」と明らかにした。

 検察は1次召喚調査の当日、日帝強制労働裁判取り引き疑惑を午後遅くまで集中的に問い質したという。引き続き特定性向の判事に人事不利益を与えるようにした“判事ブラックリスト”の作成・実行の疑いを調査したという。二つの疑いは、検察が最も力を入れている部分だ。ヤン前最高裁長官は、検事の質問に「覚えていない」「実務陣がしたことなので分からない」として、嫌疑を全面否定する趣旨の返事をしたという。

 普通、調書の閲覧では検事の質問や証拠提示に対する被疑者自身の返答内容が正確に書かれているかをチェックして、直すべき部分は修正する。調査当日または深夜0時を過ぎた翌日の未明に終えるのが一般的だ。検察が深夜0時を過ぎた深夜の調査はしないと明らかにしたことも影響を及ぼしたが、被疑者が2日にかけて調書を閲覧するのは異例だ。最高裁判官出身で誰よりも法理に明るいヤン前最高裁長官が、返答の過程でひょっとして「法的弱点」を表わした部分はないか、質問と返答を逐一徹底して調べたものと見られる。

 ヤン前最高裁長官の異例な“1泊2日調書閲覧”は、検察の逮捕状請求を「規定の手順」と見て、これに備えるためと見られる。ヤン前最高裁長官は、司法壟断関連者としては唯一拘束起訴されたイム・ジョンホン元最高裁事務総局次長の“上級者”として、嫌疑の相当部分を共有している。検察捜査の構図には、司法壟断事件の最終責任者の席にヤン前最高裁長官が置かれている。

 「半分近く調査を終えた」という検察は、近い将来ヤン前最高裁長官をさらに1,2回調査した後に逮捕状を請求すると見られる。検察内部では「共謀関係の成立が疑問」として逮捕状が棄却された二人の元最高裁判事よりは発給の可能性が高いと見ている。ヤン前最高裁長官が核心実務者に“直接指示”したという直接・間接的な証拠が多数発見されたためだ。

 ヤン前最高裁長官が嫌疑を全面否定しているのも、逮捕状発給の可能性を高める要因に挙げられる。ある判事出身の弁護士は「明白な物証にもかかわらず嫌疑を否定したならば、“証拠隠滅”の憂慮があるとして令状発給の可能性が高くなる」と話した。ヤン前最高裁長官が、検察の調査過程で自身に不利な陳述をした前・現職の裁判官を確認して、当事者を圧迫することもありうるためだ。彼が最高裁の「塀声明」(検察が用意したフォトラインを無視し、庁舎前でした声明)を強行し、裁判所内外の世論が極度に悪化したことも不利に作用しかねない。

 その反面、二人の元最高裁判事の逮捕状棄却時のように「防弾裁判所」が再現するかもしれないという観測もある。ある弁護士は「直前の最高裁長官の『塀声明』自体が、自身を支持する判事に結集せよとのメッセージを与えた。最高裁長官という地位が持つ象徴性のために“スーパー前官待遇”が作動する場合、令状が棄却されることもありうる」と見通した。

イム・ジェウ、キム・ヤンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/878203.html韓国語原文入力:2019-01-13 20:05
訳J.S

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