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「技術者に愛想ふりまけ」…女性労働者、“ジェンダーパワハラ”に泣く

登録:2018-12-19 09:02 修正:2018-12-19 12:40
女性団体「ジェンダーパワハラ」実態調査の結果を発表 
採用から賃金・昇進・業務など全課程で差別 
回答者の70%が「セクハラ・性暴力」を経験 
「個人の能力ではなく社会構造・制度によるもの」
今月18日、国家人権委員会「学びの場」で行われた「ジェンダーパワハラ」実態調査の結果発表討論会=パク・ダヘ記者//ハンギョレ新聞社

 女性労働者が入社から賃金、昇進、業務遂行など、働く全ての過程で経験する差別と性的嫌がらせを「ジェンダーパワハラ」と初めて命名し、KT、SKブロードバンド、ディーライブ、起亜華城(ファソン)工場、教育公務員などを対象に実態調査をした結果が18日、発表された。人権運動ネットワーク「パラム」、韓国女性労働者会、韓国非正社員労働センター、江西陽川民衆の家「人と空間」、研究者のイ・ヘギョン、パク・ソンヨン氏は「ジェンダーパワハラ実態調査チーム」を立ち上げ、今年9月から約4週間、282人を対象にアンケートと集団面接調査を行った。

 SKブロードバンドの子会社「ホームアンドサービス」所属の20代の女性労働者のAさんは、子どもがいることが入社に不利益を与えるのではないかと思い、履歴書に家族関係をわざと書かずに志願した。Aさんは就職してもしばらくはトイレに隠れて母乳を絞り出しながら働いた。合格しても差別は続いた。大半が内勤職の女性労働者たちは、現場職への職群転換を希望しても、管理者らは機会を与えない。Aさんは「一度の機会もくれない。(職群転換の話をしたら)『お前はまず痩せなきゃ』と言われた」と話した。

 現場職の技術者の仕事を補助しているが、専門技術や営業情報などは教えてもらえない。その代わり、業務と関係のない車の応対、洗濯、掃除、事務所の管理が彼女らの仕事になる。Aさんは「毎朝の会議は私たち(女性労働者)は除いて現場の技術者だけ(で行う)。何を知らされているのかも分からず、自分で習得しなければならない」と語った。

 職場内のセクハラ、性暴力にもさらされている。「私が一番よく言われるのはこれです。技術者に愛想をふりまけ、と」。Aさんは「(セクハラについて問題提起をしたケースは)一人もいない。“男ばかりの職場”だから、自分の境遇に誰も共感してくれないと思っている」と語った。

 「ジェンダーパワハラ」はアンケート結果にも表れている。実態調査チームがこれらの事業場所属の女性労働者282人を対象に調査した結果によると、回答者のうち46.5%が入社当時「結婚しているか」という質問を受けたことが分かった。業務中に経験した性差別には「男性の上司や同僚が丁寧語を使わずぞんざいに接する」という回答が全体の38.7%で最も多く、「服装や容姿、化粧に対する指摘を受けたことがある」(31.6%)、「会社の重要な情報を教えてもらえなかったことがある」(29.1%)、「重要な業務から排除されていると感じる」(27.0%)という回答が相次いだ。全体回答者の69.9%は「職場内のセクハラ(性暴力)を経験したことがある」と答え、セクハラ、性暴力を経験した回答者の75.6%は「セクハラ・性暴力などを職場に知らせなかった」と答えた。知らせても無駄だったり、不利益や噂が心配だという理由からだ。

 実態調査チームは「『ジェンダーパワハラ』は単に個人の逸脱が女性に行なう不合理な差別ではなく、構造化され古い慣習と制度全般にわたる性差別を表すための用語」だとし「女性が日常で経験する質の悪い職、性別賃金格差、昇進の低さや勤続年数の低さなどは、個人の能力や運命によるものであるというよりは、性別による権力関係が存在する社会構造と制度の結果」だと指摘した。

パク・ダヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/874922.html韓国語原文入力:2018-12-18 22:13
訳M.C

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