北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の年内ソウル答礼訪問の可能性が低くなり、来年初めの朝米首脳会談以降に答礼訪問が行われるという見通しが示されている。
大統領府高官は11日、「北朝鮮から連絡が来ても、私たちも準備に時間がかかる状況だが、まだ北側が決定できなかったようだ」とし、「朝米首脳会談が1月末に決まれば、(答礼訪問の時期に影響を及ぼす)また別の要因になり得る」と話した。朝米首脳会談が1月末に確定すれば、北朝鮮がその準備に集中しなければならず、ソウル答礼訪問はその後に行われる可能性もあるという意味だ。別の政府当局者も「今年中の答礼訪問は事実上難しくなっており、朝米首脳会談後に実現する可能性がある」と話した。金委員長の年内答礼訪問の“マジノ線”(限界ライン)と思われていた10日まで、北朝鮮で返信がなかったことを受け、南北首脳会談で対話の動力を作った後、朝米首脳会談の成果につなげようとした構想にも変化の兆しが現れている。朝米首脳会談に続く南北首脳会談が、南北間に意味ある成果を出すにはより理想的という本来のプロセスに戻るわけだ。
北朝鮮の“沈黙”には、朝米間で制裁緩和問題が解決されていない状況では答礼訪問をしても南北の実質的な経済協力など成果をあげるのが難しいという判断が作用したものとみられる。さらに、南北首脳会談で進展した非核化カードを出してこそ、朝米首脳会談の成果につながる局面で、追加の非核化措置に対する決断を下せなかったものと分析される。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル首席研究委員は「北朝鮮も今、寧辺(ヨンビョン)の核施設の閉鎖以外に、核リストの一部申告を含む果敢な核廃棄カードを切らなければ、米国との交渉で進展が見られないことをよく理解している」とし、「しかし、今は米国の約束だけを信じて重要な措置を決断することも難しく、米中首脳会談後の体制保証に対する中国の約束だけを信じて動くのも難しくなった状況なので、頭を抱えているようだ」と指摘した。
一方、チョ・ミョンギュン統一部長官は同日、民主平和統一諮問会議主催の特別講演で、「北朝鮮と米国の首脳会談に先立ち、南北首脳会談が橋渡しの役割をする側面の意味が非常に大きい」とし、朝米会談以前に南北首脳会談を推進する意味を強調した。チョ長官は答礼訪問について、「引き続き北側と協議中であり、北側の答えを待っている」と述べた。