本文に移動

[ニュース分析]在韓米軍維持を前提としたプランB…兵力規模の調整などが争点に

登録:2018-12-10 00:10 修正:2018-12-10 16:46
国防部が「プランB」用意した理由とは 
 
プランBが必要な理由は 
北朝鮮を敵視したプランAだけでは  
朝鮮半島の緊張緩和に備えることができず 
軍構造、安保戦略の変更を念頭に置くべき 
 
どのような内容が盛りこまれるのか 
韓米同盟と在韓米軍の維持が前提 
従来と180度変わるのは難し
キルチェーンは米空軍が1991年の湾岸戦争後、緊急打撃しなければならない時限的な標的を航空機で攻撃するために考案された。写真はキルチェーンの核心であるタウルス空対地ミサイルを装着した戦闘機の様子=タウルスシステムズ社提供//ハンギョレ新聞社

 国防部が「国防改革2.0基本計画」に代わる予備計画としてまとめた「プランB」は、朝鮮半島で北朝鮮による戦争の可能性が消えた場合は、安保政策の変化が避けられないという認識から出発する。現在の国防基本計画、すなわち「プランA」が北朝鮮を安保の最大の脅威と考えている一方、「プランB」は南北平和共存時代を想定し、朝鮮半島周辺における米中の覇権競争など新たな脅威に対応するという趣旨だ。

 現在の国防改革2.0推進計画は、北朝鮮の核・大量破壊兵器および通常兵器の脅威が高まった状況に対応するために作られた。北朝鮮の非核化が可視化し、南北軍備統制のレベルが高まれば、計画の論理性と正当性が失われる。ハンギョレが9日に入手した国防部の「国防改革2.0推進現況」資料で、政府は「プランA」に代わる「プランB」の必要性について、「非核化および南北関係の変化が継続して進展すれば、現在の軍構造発展計画の変更が避けられない」としたうえで、「膨大な軍構造計画の随時変更に伴う困難とリスクを考慮し、『非核化および平和協定締結の可視権進入』の際に適用できる別途の計画が必要」だと説明している。

 国防部の「プランB」の準備状況をよく知る消息筋は、「プランB」への転換のカギは、北朝鮮非核化の「不可逆性」の確認だと指摘した。同消息筋は「例えば、北朝鮮が核開発に使う核心部品を破棄すれば、未来の核がなくなる結果となる。このような様々な措置が重なり、『北朝鮮がこれほどの核を放棄したなら、後戻りはできない』という共感が形成される時が来るだろう。このように北朝鮮の非核化が可視化すれば、『プランB』への転換を考慮できるだろう」と説明した。

軍構造の基本計画とプランB//ハンギョレ新聞社

 同消息筋の発言によると、「プランB」に転換するためには、様々な条件が必要だ。北朝鮮の脅威が減少し、戦時作戦統制権の返還が実現しなければならず、これによって韓国の国防力が現在よりも強化されなければならない。核物質・施設の申告や寧辺(ヨンビョン)の核施設の査察など、米国や国際原子力機構が認める北朝鮮の実質的な非核化措置と共に、朝米関係の進展や南北軍備統制の構造化、世論なども、転換に影響を与える要素に挙げられる。

 「プランB」の具体的な内容はまだ決まっていないが、韓米同盟と在韓米軍の存在を前提に作成されるという点で、「プランA」との共通点が少なくないとみられる。軍関係者は「『プランA』の60~70%は維持され、30~40%程度が変わる。この中で、一部は戻りやすい水準で設計される可能性もある」と説明した。同関係者は「国防部は最悪の状況を想定して計画を立てるため、『プランB』といってもバラ色で描くことはできない。どうすれば一定水準以上の軍事力が確保できるのか、どうすれば国民の共感を得られるのかを、すべて考慮するしかない」と付け加えた。

 「プランB」に転換しても、目標を達成するには5~10年、長くは15年までかかる可能性もある。推進現況の資料によると、国防部は「プランB」の完成時点で、北朝鮮の非核化が完了し、平和協定が締結されるとみている。この時点では、米国の北朝鮮非核化宣言▽北朝鮮の潜在的核能力は推定されるものの、実際の作用は制限される状況▽南北が実際に軍事力を縮小、制限、廃棄する構造的軍備統制などが行われると仮定した。戦時作戦統制権の移管▽国連軍司令部の一部機能の縮小▽在韓米軍司令部の維持▽在韓米軍の小幅削減や再配置▽韓米並列型指揮体系の調整なども、予想リストに含まれた。

 国防部は資料で「プランB」が完成する時期の東アジア安全保障環境として、「中国の地域内影響力の強化および米国のけん制が深まる」状況を挙げている。韓米同盟と日米同盟が維持される状況で、中国が軍事力を増強し、主要な地域に軍事力を展開すると見通した。

 「プランB」に転換する際の争点としては、韓米連合指揮体系の調整や兵力構造の変化などを挙げた。部隊・兵力構造の側面から、現在61万8000人の常備兵力(2020年までに50万人に調整される予定)の規模再調整、さらに徴兵制を維持するかどうかなどが争点化する可能性もあると見通した。

 国防部は7月27日、大統領府に国防改革2.0の基本方向を報告したが、その際、軍構造改革に関する内容は盛り込まれなかった。変化した安保環境の中で「プランB」のような代替案づくりの必要性を感じたからだ。韓国国防研究院は今年10月から「未来国防ビジョン概念研究タスクフォース」を設置し、プランBの細部計画を進めている。研究結果は20日を皮切りに、来年3月(第2次)と6月(第3次)に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に報告される。

ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/873711.html韓国語原文入力: 2018-12-10 05:00
訳H.J

関連記事