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[ニュース分析]米国に北朝鮮問題への「100%協力」約束した中国の3つの思惑

登録:2018-12-06 06:55 修正:2018-12-06 08:41
トランプ大統領、対北朝鮮制裁協力の約束を誇示 

中国「妨害論」→「協力論」 
中国、制裁協力で米中関係を管理 
北朝鮮動かすテコとして活用 
米国が望む形の制裁協力ではない見込み 

国連制裁の枠組みを揺るがすことなく 
制裁解除・条件模索する見込み 
地方レベルの柔軟な制裁運用・制裁以降の準備も
今年8月、中国遼寧省丹東市と北朝鮮の新義州を結ぶ古い橋の前で、中国人観光客らが記念写真を撮っている。この橋は朝鮮戦争当時、米軍の爆撃で破壊された=丹東/キム・ボンギュ記者//ハンギョレ新聞社

 米中首脳が北朝鮮に対する「100%協力」を強調した中、中国が朝中関係と対北朝鮮制裁問題をいかに解決していくかが、情勢を左右する要因として浮上した。

 今年上半期、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と中国の習近平国家主席が3回にわたって首脳会談を開き、金委員長が6月に朝米首脳会談のためにシンガポールに向かう際、中国専用機に乗るなど、密着を誇示した朝中関係の急進展は、最近米中対立の水面下に沈んだ様相だ。

 「中国が(北朝鮮問題の解決を)妨害している」とけん制していたトランプ大統領は1日の米中首脳会談以降、習近平主席が「北朝鮮に関して、私と100%と協力することで合意した」としたうえで、「北朝鮮(問題の)解決は中国とすべての国にとって素晴らしいこと」だとして、対北朝鮮制裁と非核化に関して中国から協力の約束を取り付けたことを誇示した。だが、習主席の関連発言はいまだ出ていない。中国はどのような思惑を持っているだろうか。

■北朝鮮問題をめぐる協力で米中関係を管理

 米国の「先非核化、後制裁解除」と距離を置き、非核化に伴って対北朝鮮制裁を緩和する必要性があると主張してきた中国の態度変化は、これ以上米中関係を悪化させないための戦術的カードと見られる。

 亜州大学中国政策研究所のキム・フンギュ所長は「中国が北朝鮮の核問題で米中関係が悪化する口実を与えず、米国との協力を示すカードとして、国連制裁への協力を活用している」と話した。キム教授は、中国が国連制裁の枠組みを壊した場合、ホワイトハウス戦略家たちの集中攻撃を受け、非核化が進展しない責任を負わされる可能性や、米国が「台湾カード」で中国を圧迫する可能性などを考慮したものと見ている。聖公会大学のイ・ナムジュ教授は「朝中関係を朝米関係より先に進めないということ」だとし、北朝鮮が10月の労働党創建日に習近平主席の訪朝を期待したにもかかわらず、中国が米中関係を考慮して応じなかったことと同じ脈絡だと分析した。

■北朝鮮を管理するテコ

 中国が「国連制裁の順守」を名分に掲げ、北朝鮮の非核化を加速化させると共に、中国の影響から抜け出せないように管理しているという分析もある。キム・フンギュ教授は「中国が戦略的に重要な北朝鮮の非核化を進展させ、北朝鮮を管理するために、制裁レベルを活用する面がある」とし、「中国は北朝鮮が非核化を進めた場合、相応する何かを与えるべきだという原則論を掲げながらも、実際、国連制裁を緩和するために積極的に動いたことはない」と指摘した。

今年7月、平安北道一帯の現地指導に乗り出した北朝鮮の金正恩国務委員長(前列右)が、朝中経済協力の主要候補地である新義州の紡織工場で設備を視察している/朝鮮中央通信 聯合ニュース

■制裁緩和の条件とタイムテーブルを模索

 だとして、中国が100%米国の要求どおり制裁の維持・強化に進むとは考えられない。国内政治において、米国に過度に押される姿を見せてはならない習主席の政治的考慮も(中国の出方に)影響を及ぼすものと見られる。国立外交院キム・ハングォン教授は「習近平主席は国益と安保では米国に絶対譲歩しないと強調してきたが、最近、米国との戦略的競争で押され、国内政治における反発を懸念する状況なので、北朝鮮問題でも国内を説得できる名分が必要だ」とし、「米国に対し、しばらく制裁を維持するものの、いつ、いかなる条件で対北制裁を緩和できるのかを明確にするよう要求しただろう」と指摘した。

 中国は国連安保理決議のほかにも、米国が要求する独自制裁や中国地方政府と民間企業の対北朝鮮交流など、様々なチャンネルで制裁レベルを調整できる。イ・ナムジュ教授は「中国が朝中関係を度外視できないため、国連制裁は維持しながらも、自主制裁や地方政府の制裁は弾力的に運営できる」とし、「中国人の北朝鮮観光統制を解除するなどで、制裁を弾力的に運営し、北朝鮮との関係を安定化させようとするだろう」と話した。

 “制裁以降”の準備も続いている。成均館大学のイ・ヒオク中国研究所長は「中国は制裁過程の中でも、北朝鮮とできることを準備してきた」とし、北朝鮮の人的資源教育や中国の改革開放経験の伝授、新しい産業動向を紹介しながら、発展モデルと制度的インフラについて助言すると共に、中国が1980年4月に国際通貨基金(IMF)に加入した経験も伝授していると話した。

パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/873241.html韓国語原文入力:2018-12-06 01:23
訳H.J

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