本文に移動

「対北朝鮮人道支援を遮断してはならない」…米国で高まる懸念

登録:2018-11-16 06:39 修正:2018-11-16 07:17
米国人旅行禁止措置・制裁強化で北朝鮮内の緊急救護が困難に 
35の米国人道主義団体「支援遮断する政府措置の解除」要求 
上院外交委員会のマキ議員も「人道主義救護を認めるべき」書簡送る 
安保専門家ら「北朝鮮を圧迫するため救護遮断すると保健・安保危機迎える可能性も」
米国のトランプ大統領が今月14日、ワシントンのホワイトハウスで監獄改革法案について発表している=ワシントン/AFP聯合ニュース

 米国内で北朝鮮に対する人道支援を遮断している米政府の措置の解除を求める声が高まっている。人道主義団体と上院議員がそれぞれトランプ大統領にこうした要請を書いた書簡を送っており、安全保障専門家の間でも米国が対北朝鮮交渉力を高めるために人道支援を妨げる措置が、保健・安保危機につながりかねないという懸念の声もあがっている。

 アメリカ・フレンズ奉仕団(AFSC)をはじめ、35の米国内人道主義団体とNGOは、米政府が北朝鮮への人道主義問題を北朝鮮の非核化交渉と連携せず、人道主義関連活動については財務省外交外資管理室(OFAC)の対北朝鮮制裁の猶予などを求める書簡を作成し、トランプ大統領宛に送った。アメリカ・フレンズ奉仕団のダニエル・ジャスパー・アジア地域担当官が先月26日、スティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表との面談で手渡した同書簡は、その後トランプ大統領とスティーブン・ムニューシン財務長官、上院と米下院外交委員会にも伝えられたと、「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)が報じた。

 米上院外交関係委員会のエドワード・マキ議員(民主・マサチューセッツ)も7日、トランプ大統領とマイク・ポンペオ国務長官らに米国の救護活動家らによる北朝鮮での活動を許可するよう促す書簡を送ったと、ニューヨーク・タイムズ紙が報道した。マキ上院議員は同書簡で、「トランプ政権が、北朝鮮に最も基礎的な人道主義援助を提供しようとする救護活動家たちの北朝鮮入国と物品援助を遮断しているという報告を見て、深く憂慮している」と述べた。

 先月29日、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)では「保健・安保と北朝鮮」をテーマにしたセミナーが開催された。この場で世界食糧基金(WFP)関係者は「米国が対北交渉力を高めるために人道支援を武器化し、北朝鮮の子どもたちに対する栄養食支援事業を縮小するなど、困難に直面している」とし、「北朝鮮を国際社会の一員として引き込むための非核化交渉を進めながら、感染力の高い病が広がる危険性を放置する矛盾が発生している」として、懸念を示したという。

 セミナーに参加した人道主義団体の活動家らと安保・保健専門家らは、米国政府が対北制裁を理由に掲げ、人道支援を政治的状況と結びつけることに批判的な見解を示した。状況が悪化し、北朝鮮で保健・医療非常事態が起きて、住民が国外に脱出した場合、保健危機が国境を越えて広がり、北朝鮮政府の掌握力の悪化などにつながって、核統制力の弱体化に飛び火する可能性があるとの意見も示された。

 米国人大学生のオットー・ワームビア氏の死亡事件をきっかけに、米政府は2017年9月から自国民の北朝鮮への旅行を禁止したが、人道主義的な目的の訪朝に限って特別パスポートを発給し、訪朝を許可してきた。しかし、今年9月以降、人道主義活動家のパスポート申請が拒否される事例が増えると共に、制裁審査が長期化して物品の搬入が難しくなり、米政府が対北朝鮮圧迫を強化するために人道主義的な状況を利用しているという懸念が高まっている。

パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/870359.html韓国語原文入力:2018-11-1520:34
訳H.J

関連記事