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最高裁裁判の遅延により徴用被害15件が漂流

登録:2018-10-31 06:23 修正:2018-10-31 08:16
30日午後、「強制動員問題の解決と対日過去清算のための共同行動」の会員たちと被害者がソウル市瑞草区瑞草洞の最高裁前で記者会見をしている。強制徴用被害者イ・チュンシクさん(94)が感想を話しながら涙を流している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 2013年11月、ヤン・グムドクさん(87)は光州(クァンジュ)地裁の前で「万歳」を叫んだ。光州地裁民事12部(裁判長イ・ジョングァン)は、日帝強占期(日本の植民地時代)に朝鮮女子勤労挺身隊として連れて行かれたヤン氏ら5人が、強制労働を強いたにもかかわらず賃金を一銭も支給しなかった日本の三菱重工業を相手取って起こした損害賠償訴訟で、6億8000万ウォン(約6700万円)の支給を命じた。2012年5月、最高裁が日本企業の強制動員賠償の責任を認めたという話を聞き、勇気を出して訴訟を起こしてから約1年後に聞いた朗報だった。「やっと胸にのしかかっていた恨みが晴れたようだ」とヤン氏は言ったが、三菱地裁が判決を不服とし、2015年7月に最高裁に再び上告された訴訟は、それ以来進展がなかった。

 これまで提起された強制動員の損害賠償訴訟は計15件だ。30日、最高裁判所の全員合議体が言い渡した新日鉄住金(旧新日本製鉄)の徴用損害賠償訴訟のほかにも、最高裁はまだ2件の三菱徴用事件を審理している。同事件は先月から全員合議体で審理している。

 ソウル中央地裁や光州地裁、ソウル高裁など、1審と2審に係留中の強制動員の損害賠償訴訟は12件だ。ヤン氏のように、2012年5月に日本企業の損害賠償を初めて認めた最高裁の判決を見て、勇気を得て起こした2次・3次訴訟だ。新日鉄住金を対象にした訴訟が2件、三菱重工業を対象とした訴訟が4件、不二越鋼材を対象とした訴訟3件などがある。原告に名を連ねた人だけでも950人を超える。

 最高裁判所の新日鉄住金の徴用事件の再上告審が5年以上先送りされたことで、下級審の訴訟も漂流した。裁判部が最高裁の判決を待ったためだ。その間、高齢の被害者たちが一人、二人と亡くなっている。太平洋戦争被害者補償推進協議と大韓弁護士協会などは、最高裁判所の早急な判断を促す記者会見を開き、声明も発表した。

 この日の最高裁判所の判決で他の裁判も急速に進む見通しだ。徴用被害者を代理するキム・セウン弁護士(法務法人へマル)は「15件の損害賠償訴訟は、事実関係は異なるが法律的な争点は同じだ。 最高裁の全員合議体の判決趣旨に従って、下級審も整理されるものとみられる」と話した。ただし、日本企業各社は判決を不服として、控訴や上告をする可能性が高く、裁判はさらに長引きかねない。追加訴訟が相次ぐ可能性もあるが、強制動員の被害者の大半が高齢であることから、韓日両国の外交的談判を求める声も高まっている。

コ・ハンソル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/868021.html韓国語原文入力:2018-10-30 20:35
訳H.J

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