スティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮担当特別代表が28日、韓国に到着した。ビーガン代表は、29日からカウンターパートのイ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長と会談し、北朝鮮の核問題の解決に向けた戦略などについて協議する。北朝鮮の非核化措置と米国の相応措置をめぐる韓米の協力が、膠着状態に陥った朝米実務会談の突破口を開けるかに注目が集まっている。
ビーガン代表は同日午後、仁川国際空港で韓国側と協議する内容を尋ねる取材陣の質問に対し、「今日はいかなる質問にも答えられない」と言及を避けた。(今回の訪韓には)アリソン・フッカー国家安全保障会議(NSC)朝鮮半島補佐官とケビン・キム国務省北朝鮮上級顧問も同行した。ビーガン代表は29日、カン・ギョンファ外交部長官を表敬訪問してから、イ・ドフン本部長と会談し、協議を行う予定だ。
今回の交渉で、ビーガン代表とイ本部長など北朝鮮核問題を担当する韓米当局者らは、朝米高官級会談と実務会談の推進状況を共有し、細部案件に対する韓米間の意見を調整するものとみられる。今年5月、北朝鮮が爆破の場面を公開した豊渓里(プンゲリ)核実験場に査察団を派遣する問題▽東倉里(トンチャンリ)のエンジン試験場とミサイル発射台を専門家の立ち合いのもと永久廃棄する問題▽寧辺(ヨンビョン)の核施設の永久的廃棄に先立つ米国の相応装置などが議題に挙げられる。
「終戦宣言」問題も韓米間の交渉テーブルに上る可能性がある。外交部当局者は23日、ワシントンで記者団に「(朝米)実務協議で合意されれば、年内の終戦宣言は不可能とは思わない」と話した。
今回の協議では、南北首脳が4月27日の板門店宣言と9月の平壌共同宣言で合意し、高官級会談と分野別会談で確定した、11月末から12月初めの東・西海線の鉄道・道路の連結と現代化事業の着工式(10月15日の南北高官級会談)▽今年中に北朝鮮の養苗場10カ所の現代化事業(10月22日の南北山林協力会談)などの履行過程で、韓国が国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会に、制裁免除を申請するかどうかなどに関する内容も話し合われるものと予想される。南北鉄道連結問題については、韓国政府が米国と最終調整を行っているという。
北朝鮮のシン・ホンチョル外務副相が27日にロシアを訪問しており、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が近日中にロシアを訪問するという見通しも示されている状況で、韓米は北朝鮮の対外活動の動きに対する分析結果も共有するものとみられる。
一方、ビーガン代表が訪韓の契機に、板門店(パンムンジョム)でチェ・ソンヒ副相ら北側実務会談の関係者たちと接触するのではないかという見通しも示されているが、外交部の消息筋は「期待しない方がよさそうだ」として、その可能性は低いと予想した。