韓国の19歳以上の成人の67%は「福祉が拡大すれば自分の暮らしは良くなる」と思っているが、住宅を多く持つほどこうした期待は次第に低くなることが分かった。家、すなわち資産が福祉への態度を分ける核心的な要因になっているといえる結果だ。
18日、ハンギョレ経済社会研究院が世論調査専門機関のエムブレインに依頼し、全国の成人800人を対象に6~7日に実施した福祉意識に関する電話世論調査の結果によると、住宅を持たない人は72.2%が福祉の拡大で自分の暮らしがよくなると答えた。だが、この回答は1住宅者(持ち家が1軒の人)は65.5%、2住宅者は58.3%に下がった。3住宅以上の多住宅者ではその数値が55%とさらに低くなった。持ち家が多ければ多いほど、福祉志向が下がった。このような傾向は、これから住宅価格が上がればいいと考える人にも同様に表れた。「福祉が拡大すれば自分の暮らしが良くなる」という回答は、「住宅価格が下がったほうがよい」という人では70%だったが、「維持されるのがよい」という人では63.1%、「上がったほうがよい」という人では43.3%だった。
「経済的不平等に対して国家は責任があるか」については、住宅が多いほど国に責任があるという回答が少なかった。無住宅者は93.8%、1住宅者は90%が国に責任があると見ており、2住宅者は79.2%、3住宅以上保有している人は80%が国に責任があると考えていた。同様に「住宅価格が下がったほうがよい」という人は94.2%が国家の責任を問うたが、「維持されるのがよい」は83.1%、「上がったほうがよい」は73.3%に減った。
経済的な不平等を解消する対策をめぐっても、住宅保有量と望む住宅価格によって意見が明確に分かれた。無住宅者は83%、1住宅者は80%が「国民の基本生活を保障する福祉政策」(普遍福祉)を好むと答えたが、2住宅者(76.4%)と3住宅以上(55%)ではこの回答は大きく減った。「住宅価格が上がったほうがいい」という人の普遍福祉を好む率(63.3%)も、「住宅価格が下がったほうがよい」(80.7%)という人と「維持されるのがよい」という人(80.9%)を大きく下回った。
今回の結果は、公的福祉制度が脆弱で水準も低く、各個人が資産の蓄積を通じて老後など生活の問題を解決する「私的資産基盤の福祉」が韓国社会で長い間作動してきたためと分析される。同時に、ますます大きくなる資産不平等問題を一日も早く解決しなければ、福祉国家に進むのが容易でないことを示している。中央大学のシン・ジヌク教授(社会学)は「韓国は階級政治の歴史的背景がなく、公共福祉の支持基盤が弱いため、中・低所得層といっても自分の家さえあれば福祉抵抗集団になりやすい」とし、「私的資産基盤の福祉で老後、健康、子どもなどの問題を解決する住宅保有者、特に多住宅保有者としては、公共福祉に敵対感を持たざるを得ない」と話した。
今回の調査は無線電話80%、有線電話20%の割合で実施され、信頼水準95%で標本誤差±3.46%ポイントだ。