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遺伝子組み替え“怪物菜の花”、拡散させた原因は農林食品部だった

登録:2018-10-05 09:48 修正:2018-10-05 18:25
「植物界のウシガエル」といわれる菜の花種子 
国境通関検査で遺伝子実験の際 
「陽性」出たのに「合格」判定 
職員8人を軽懲戒し、外部には「非公表」 
 
国内流入後、98カ所で栽培拡散 
掘り返してもまた復活、被害の憂慮 
キム・ジョンフェ議員「検疫違反の実態調査を」
2017年5月、忠清南道洪城郡内浦新都市の忠南道庁周辺のスアム池遊休地の遺伝子組み換え生物体の菜の花に様々な昆虫がついている=洪城/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 昨年、全国の菜の花畑を掘り返すことになった遺伝子組み替え(LMO)菜の花、いわゆる“怪物菜の花”の拡散は、検疫当局が検疫基準をきちんと守らず起こったことと確認された。遺伝子組み替え菜の花は今年も引き続き芽が出ており、環境団体はこれらの種子による生態系かく乱の可能性を憂慮している。

 国会農林畜産食品海洋水産委員会のキム・ジョンフェ議員(民主平和党)が4日確保した政府中央懲戒委員会の議決書などによると、農林畜産食品部の農林畜産検疫本部公務員のA氏が、2016年に中国産菜の花種子についての実験をした当時、1次テストで遺伝子組み替えの「陽性」反応が出たが、2次検査なしに任意で「検出されず(合格)」と判定したことが分かった。彼はこれをはじめ、検疫本部告示である「LMO国境検査細部実施要領」を数件違反して、遺伝子組み替え菜の花の国内の放出を招いた疑いで5月に減給1カ月の処分を受けた。A氏を含め、計8人の公務員が同じ疑いで懲戒を受けた。ただ、戒告や減給1カ月など、全員軽い懲戒処分だった。

 遺伝子組み替え菜の花は「生き遺伝子組換え生物」(LMO)であり、繁殖能力のない遺伝子組換え生物(GMO)と区分される。韓国に流入された菜の花の種子であるGT73の場合、多国的食糧企業の米企業モンサント社が除草剤に耐性を持つように遺伝子を組み替えた種だ。繁殖力が優れ、同じアブラナ科(ハクサイ科)の植物である白菜、カラシ菜などと異種交配され、「遺伝子組み替え交配作物」誕生など生態系を錯乱した恐れがある上、除草剤で駆除するのも難しく、“怪物菜の花”と呼ばれる。これに対して政府はGT73の国内流入を統制してきた。

2017年5月、忠清南道洪城郡内浦新都市の菜の花祭り催事場でトラクターが遺伝子組み換え生物体(LMO)の菜の花が植えられた土を掘り返している。掘り返した土の上に菜の花の種子がまだ残っている=洪城/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社  

 しかし、怪物菜の花は昨年5月「菜の花祭り」を準備していた江原道太白(テベク)で初めて発見され、その後農林食品部が2016年1月以降に輸入された菜の花種子を調査した結果、中国から輸入された菜の花の種子32.5トンのうち、19トンに遺伝子組み替え菜の花種子が含まれていることが分かった。これら“怪物菜の花”は、全国98地域で広範に栽培されており、全国の菜の花祭りをキャンセルしたり、菜の花畑を掘り返すなどの後続措置と農家被害が続いた。これらの種子が韓国に入って来た経路を追跡した結果、検疫当局のずさんな管理が主な原因と明らかになった。当時、農林食品部は「積極的に対処」を強調したが、種の流布の発端となった検疫当局の規定違反に対しては過失が確認された後も公開しなかった。何より、除草剤をまいてトラクターで土を掘り返すなどの事後処置にもかかわらず、今年に入って全国各地で“怪物菜の花”が再び発見されている。

2017年5月、遺伝子組み換え生物体(LMO)菜の花が植えられた忠清南道洪城郡内浦新都市の菜の花祭り催事場でトラクターが土地を掘り返している=洪城/キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 キム・ジョンフェ議員は「植物界のウシガエルと呼ばれる未承認菜の花の国内の放出は、生物多様性を保全するのに大きなリスクを及ぼすことはもちろん、農家にも大きな被害を与える。検疫当局が規定を徹底的に遵守していたら、このように事態が大きくはならなかったはず」だとし、「責任者の軽懲戒でやり過ごすのではなく、怪物菜の花の栽培地でアブラナ科近縁種作物の栽培を一定期間禁止するなど、生態系の被害を防ぐための追加措置を取り、各検疫本部の規定違反の実態を確実に調査すべきだ」と話した。

ソン・ギョンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/864559.html韓国語原文入力:2018-10-05 07:49
訳M.C

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